
今年4月から高校の授業料についての国の支援制度が拡充される。来年4月には私立高校の就学支援金の限度額も大幅に引き上げられ、所得制限も撤廃となる。こうした支援の拡大を背景に、「子どもを私立高校に通わせるのもアリかも」と考えている人は多いかもしれないが、私立に通わせる選択をする前に“落とし穴”についてぜひ知っておいてほしい。(ファイナンシャルプランナー〈CFP〉、生活設計塾クルー取締役 深田晶恵)
2026年度から所得制限なしで
私立高校の授業料が実質無償化!
3月4日に2025年度予算案が衆議院を通過し、主に高校生の授業料をサポートする国の「就学支援制度」は大幅拡大が決まった。
現行制度では、年収910万円未満の世帯について、公立・私立を問わず年11万8800円の支援を受けられる。私立の場合は、年収590万円未満の世帯に年39万6000円を上限として加算されている。下の図の白い部分が現行制度だ。

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改正により拡大するのは図の黄色部分。所得制限が撤廃され、さらに私立の支給限度額も大幅に増える。
11万8800円の支給額については、今年4月から所得制限が撤廃される。所得制限は「世帯」の収入で判定されるため、共働き夫婦は支援金を受けられないケースが多かった。共働きには朗報だろう。
また、来年4月には私立高校の39万6000円についても所得制限をなくし、さらに支給額も私立高校の全国平均額である47万7000円まで引き上げるという。
先行して、東京都は48万7000円、大阪府は63万円を上限として所得制限を設けずに支援金を出している。
国の就学支援金の大幅拡充で高校授業料は実質無償化となるが、子どもがいる家庭への支援策はすでに実施されているものが多数ある。
例えば児童手当。2012年に金額や内容が刷新された当初は、0~2歳までは1万5000円、3歳~中学生まで1万円(第3子以降は小学生の間1万5000円)で、所得制限をオーバーすると5000円であった(支給額はいずれも月額)。
現在は、0~2歳までは1万5000円、3歳~高校生までは1万円と拡充されている。第3子以降は3万円を受け取れるようになった。さらに所得制限は撤廃されている。
保育園・幼稚園の利用料も3歳から「無償化」が実施されている。保育園は3歳になった後の4月から、幼稚園は満3歳から月額2万5700円を上限に無償となる。
ただ、子育て世帯への国のサポートは大きく拡大しているが、制度を正しく把握しておかないと「落とし穴」にはまることもある。今回はFPの視点から注意したい三つの「落とし穴」を紹介しよう。