アクティビスト・ファンドの株主提案が
無視される背景にある3つの問題
今年もまた6月の株主総会で7つの「アクティビスト」ファンドが31社の日本企業に対して提出した株主提案全てが、大差で否決された。20年以上にわたって、アクティビスト・ファンドによる株主提案は、可決に必要な票数を確保できていないのである。
100件余りの提案全てが、企業価値向上のための反対だったとは考えにくい。だが、提案のメリット・デメリットを議論するためのプロセス、コーポレート・ガバナンス・コードが掲げる「中長期的な企業価値の向上、投資家と企業の対話」という理念が機能していないことは問題視すべきである。
アクティビスト・ファンドは勝つ見込みがないことを自認しているし、実際、株主を説得するために積極的なキャンペーンを張るファンドは、最近ではほとんどいない。アクティビスト提案に関するメディアの取り扱いは大きくない。もう古い話である。
それゆえ、経営陣にとって、株主提案はもはや怖くない。決まりきった反対意見の作成を法律事務所やIRアドバイザーに任せ、予想通りの総会決議を待つだけで用が済む。
アクティビスト・ファンドと経営陣との「対話」が止まっていることについて、アクティビスト・ファンド側には主に3つの問題がある。