観光客でにぎわう清水寺への参道「清水坂」観光客でにぎわう清水寺への参道「清水坂」 Photo:JIJI

京都に戻ってきた
外国人観光客たち

 京都に外国人観光客が戻ってきた。新型コロナ禍で頓挫して、中国経済の成長鈍化もあって心配されたが、円安を背景に欧米人などが堅調に増え、中国人も再び増えてきた。

 インバウンド(外国人観光客)が観光産業の主要な柱になった以上、それに対応しない選択肢はなく、ビジネス上もチャンスだ。また、街全体の対外国人リテラシー(対応力)も上がり、安心して旅行できるようになったことも大きいと思う。その結果、ホテル宿泊数の60%以上が外国人というのが常態化している。

 タクシーでもレストランでも、日本語のできない客がそれなりの割合になっているので、英語は一言も話せないのでは、仕事に支障を来たすようになり、それなりに、対応できるようになってきた。

 それでも外国人は苦手という人もいるし、混雑によって市民生活に支障を来たすこともある。とはいえ、京都人はそういうことには慣れている。桜や紅葉のシーズンにはあちこちで交通まひが起こり、出張時には滋賀県まで足を延ばさないとホテルが取れないことはこれまでもあった。そうした時期になると、「関東の人にはもう来てほしくない」などという声も少なからず上がる。

 その意味で、観光客の増加によるおこぼれにあずかっていない人が愚痴るのは普通のことで、京都人が関東人や大阪人よりもインバウンド観光客を嫌っているとは、私も京都市民の1人として思わない。

 ただ、いずれにしても、観光客と市民の日常生活をどう調和させるか、あるいは、観光客にも気持ちよく京都観光を楽しんでもらうためにはどうすればいいのかは、行政や関係者にとって重要な課題であるし、これまでの怠慢は厳しく責められるべきだと思う。