
日立製作所と東芝は、過去10年ほどの間にCT(コンピューター断層撮影)などの診断機器事業を手放した。だが、両社ではまだ医療機器事業が一部存続しており、放射線治療の一部の分野ではグローバルの“2強”として覇権を争っている。実はこの事業は、かつて三菱電機も手掛けていたが、既に撤退している。特集『医療機器 21兆円への挑戦』の番外編では、エレクトロニクス大手で存続する医療機器事業の勝ち筋を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
医療機器市場からエレキ大手が続々撤退
日立と東芝では放射線治療装置が存続
国内電機大手の群雄割拠状態にあった医療機器業界は、ここ10年ほどの間に大きく様変わりした。本特集の#1『日立・東芝・パナは撤退、ソニーはオリンパスとタッグを組むも多難…医療機器業界「最新勢力図」を大公開!見えた日本勢の勝ち筋とは?』で述べた通り、電機メーカーが次々と撤退していったのだ。
事業譲渡の規模が特に大きいのが、CT(コンピューター断層撮影)などの画像診断領域だ。東芝はキヤノンに6700億円、日立製作所は富士フイルムに1800億円で譲渡している。
日立と東芝は巨額の事業売却に踏み切ったが、両社ではまだ医療機器事業が一部存続している。詳細は後述するが、実は放射線治療の一部の分野は両社がけん引しており、日立と東芝がグローバルの“2強”として覇権を争っているのだ。
この事業は、かつて三菱電機も手掛けていたが、成長性に見切りをつけて撤退している。残った日立と東芝は、成長戦略を描けているのだろうか。
次ページでは、日立と東芝に残された医療機器事業の“勝ち筋”を明らかにする。