韓国がこの5月真新しいシンクタンクをつくり世界の注目を集めにかかったのを見て、軽い衝撃を受けた。
名称をGlobal Green Growth Institute(GGGI)といい、本部はソウルにある。
「グリーン・グロウス」とは、地球環境の保全と経済成長が密接不可分であるとして、その両立を図る新たな経済発展モデルを指す由。「持続可能な成長」と言い習わしてきた概念をお色直ししたものだ。
「環境のことなら日本」、「貧困克服と環境保全を、開発援助の仕組みで追求できるのは日本だけ」と、年来我が国は自称してきた。GGGIのコンセプトは、ことによるとそのお株を奪う。
事務局長は『The Economist』で公募
理事会メンバーを世界一級の人材から選び、事務局長も英エコノミスト誌で公募するなど世界から募ることとして、国際的名声の獲得を初めから狙っている。
エコノミスト誌(7月24日号)広告の謳い文句によると、「出資国はじきに何カ国か増える見込みで、2~3年以内に国際条約によって認知された組織となる」のだとか。
「国際条約」ウンヌンが具体的に何を指すのかはさておき、特定政府(この場合韓国政府)の意向を離れ、独立した理事会が運営を担う政治的に中立な機関となる。しかし設立に必要なだけの初期投資は、韓国政府が負担したわけである。
ブランディングの洗練
この手があった、と、ちょっと臍(ほぞ)をかみたい気分だ。
政府のヒモつきで世界へ向け揚げた凧に「この指止まれ」とやって、ヒモの引き手を増やしつつ、自らは徐々に手を緩めていく。
やがて国際的ブランドを獲得し、「韓国の」機関とは誰も思わなくなる日が来なければならないが、それでも「ノーベル賞といえばストックホルム」というように、「グリーン・グロウスならソウル」と、世界中が連想する――そんな発展形態を目指しているわけだ。
利他を通じた利己という、ブランディングとして洗練された試みである。