近年、企業による社員待遇の向上が続いている。人手不足や物価の上昇など背景は複数考えられるが、なにより、企業が成長するためには年収アップで人を引き付ける必要がある。ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、最新のデータを反映した3年後の年収を大胆予想。特集『【最新版】3年後の予測年収1355社ランキング!全30業種で「勝ち組」はどこだ?』の#4では、化学業界の年収を独自に推計し、全94社のランキングを作成した。(ダイヤモンド編集部 山本 輝)
激変の荒波に巻き込まれる化学業界
「勝ち組」も年収減少の憂き目に!
化学業界では、大手ですら巻き込まれる激変のさなかにある。脱炭素への早急な対応が必要となっている上に、エチレンなどの基礎化学品を手掛ける大手化学メーカーは、石油化学事業の不振が重荷に。詳細は『【化学24社】倒産危険度ランキング最新版!総合化学のレゾナック(旧昭和電工)は3位、1位は?』を参照してほしいが、名の知れた企業ですら、倒産危険度の危険水域に入っているほどだ。
とはいっても、待遇の面では、かなり恵まれている。総合商社やコンサルティング会社レベルとまではいかないが、2024年3月期の平均年収が800万円台半ばから最高で1442万円というレンジの中に多数の企業が位置している。
化学業界は、これからも高い水準を維持できるのか?あるいは激変の波にのみ込まれ、年収が減少していく企業が多いのか?ダイヤモンド編集部では、統計専門調査会社の協力の下、24年3月期までの実績値から3年後となる26年4月期~27年3月期の年収を大胆予想した。
試算対象としたのは、化学業界の94社だ。年収が業績などに連動することを前提に、各社の公表資料を用いて重回帰分析による予測モデルを作成、アナリストによる業績予想のコンセンサスデータを当てはめて試算を行った。
すると、平均年収が1000万円を超えていた3社のうち、2社が1000万円を割り込む試算結果に。そして、94社のうち43社が年収減少という憂き目に。
日本ペイントホールディングス(HD)、富士フイルムホールディングス(HD)、三菱ケミカルグループ、レゾナック・ホールディングス(HD)、信越化学工業、住友化学、三菱ガス化学、東京応化工業、日産化学、日油、積水化学工業、太陽ホールディングス(HD)などの3年後の年収はどうなるのか?一挙に見ていこう。