努力はしているのに、なかなか成果につながらない。そんな状態が長期間続くと、心が折れてしまう。そうならずに、自分の夢や目標を叶えるにはどうしたらいいか。月給約16万円のサラリーマンから、183万人の登録者数を誇るYouTuberへ華麗なる転身を果たし、スマートストア(ECサイト)を運営する経営者でもあるチュ・オンギュ氏は、著書『SUPER NORMAL 凡人が上位1%の「成功者」になる抜け道』のなかで「効率的に実力を積み上げていく方法はある」と述べている。それは一体どのようなものだろうか。本記事では、本書の内容をもとに、その方法について解説する。 (文/神代裕子、ダイヤモンド社書籍オンライン編集部)

SUPER NORMALPhoto: Adobe Stock

「運」の領域における努力は無駄

 頑張っているのに結果が伴わない。

 もしあなたがそんな悩みを抱えているのであれば、まずは努力の方向性を確認してみる必要がある。

 YouTuberであり経営者でもあるチュ・オンギュ氏は、「最速で実力をつける学習技術」として、次の4つの方法を挙げている。

 1つ目は、「運の領域」で無駄な努力はしないこと。

 例えば、「クライアントに一度提案を拒絶された際、そのことに深く傷つき、企画書を修正したり、魅力的なメールを書いたりすることに、限られた時間を費やすことはもったいない」と述べる。

 なぜなら、チュ・オンギュ氏は「企画書の書き方を考えるよりも、その間にもっと多くのクライアントにアプローチした方が効率的である」と考えているからだ。

 しかも、過去に自分の企画が採用された経験があり、実績を残しているなら、「今は確率を高める世界に飛び込むタイミングだ」と指摘する。

重要なのは、大勢の人に営業をして「拒絶」されても傷つかない、鋼のメンタルを手に入れることだ(中略)
製品の評価は、相手の置かれた状況によって変わるものだから、僕を必要としている顧客に出会えるかどうかは、高確率で「運」にかかっている。(P.208-209)

 確かに、少数の人に響く企画書を練るよりも、次々と営業をかけて行った方が、契約してもらえる確率は高まる。

 自分たちの製品を必要としている人をどれだけ見つけ出せるかは、多くの人にアプローチしていくしかないからだ。

目指すは、達人レベルよりも最低限の合格レベル

 2つ目は、「必要最低限の合格レベル」を決めることだ。

 チュ・オンギュ氏は、「達人レベルまで実力を磨き上げようとするのではなく、とりあえず『必要最低限のレベル』に達したら、まずは挑戦しよう」と促す。

 なぜなら、長年その分野で経験を積み、能力を磨き上げてきたベテランたちに追いつくことは、一般人にはハードルが高いからだ。

もしあなたがノーマルなら、ライバルと比較して市場で通用する必要最低限のレベルまで実力を上げたら、何度もトライしていく戦略に切り替えたほうが効果的だ。(P.210)

 確かに、何かのナンバー1を目指すのは難しいものだ。上には上が存在し、鍛錬には時間がかかる。それこそ、才能の問題に帰結することもある。

 一方で、オンリー1になるチャンスは誰にでもある。その唯一の領域を見つけ出すためにも、まずは動いてみるというのが大事なのだろう。

勘違いしやすい「優先順位」

 3つ目は、「優先順位を見極めること」である。

 YouTuberとしても成功を収めたチュ・オンギュ氏は、次のように語る。

YouTubeを始めるときも同じだ。
まずは高額な機材を買いそろえようとする人がいるが、まったくおすすめしない。
僕は、最初の数年間はスマートフォンだけで撮影していた。
いいカメラを買うよりも、コンテンツの合格最低ラインを調べて、そのレベルをクリアするためのトレーニング計画を立てるほうがはるかに重要だ。(P.213)

 確かに見る側は、面白い内容、役に立つコンテンツを求めているのであって、視聴に耐えないレベルでなければ、画質にはそれほどこだわりはしない。

 良いカメラは収益化ができてから買ったらいいのだ。

「何に価値を置くべきか」をしっかり考え、優先順位を決めて取り組まなければ、いつまで経っても何にもチャレンジできないのだ。

習えるものは習って、時間を貯蓄しよう

 チュ・オンギュ氏が勧める4つ目は「ロールモデルの時間を盗め」だ。

 これはどういう意味だろうか。

 これは、超初心者の状態で右も左も分からない場合は、まずはロールモデルにしたい人を見つけ、その人の講義を聞くという方法だ。

これも時間を貯蓄する方法の1つだ。自分が数十時間かけてやっとたどりついた情報を、10時間で教えてもらえるなら、それだけ時間を節約できることになる。(P.215)

 他にも、自分より少しレベルの高い人から学ぶという手もある。

「先輩や上司に仕事を教えてもらったように、『あなたに教えてくれる人なら講師レベルの実力を持つ人でなくても構わない』」とチュ・オンギュ氏は語る。

誰にでも初心者の時期はある。
重要なのは、「何があってもくじけない心」だ。(P.215)

「努力で伸びる領域」を正しい努力で伸ばそう

 成果につながらない努力を続けるほど、つらいことはない。

 重要なのは、「努力で伸びる領域のこと」なのかどうかを見極め、その努力の方向性を間違わないことだ。

 チュ・オンギュ氏が教えてくれるこれら4つの方法は、一見当たり前のことのようでいて、意外と私たちが「うまくいかない状況」に陥ってしまう理由になっているものもあるように思う。

 もし、あなたが、「頑張っているのにうまくいかない」「なんとなく伸び悩んでいる」と感じているのであれば、一度この4つの考え方に沿って振り返ってみてほしい。

 もしかしたら、ほんの少し努力の仕方を変えるだけで、劇的な変化を得られるかもしれないのだから。