鈴木亮司・パーソナルトレーナー鈴木亮司氏 撮影=今井一詞

夜中に目覚めてしまう、寝付けない、などのお悩みはありますか。「力を抜くこと」の大切さに着目し、のべ4万人以上にパーソナル指導を行う鈴木亮司さんに、ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞きました。(パーソナルトレーナー 鈴木亮司/ジャーナリスト 笹井恵里子)

猫背や反り腰も体が力んで
疲れやすくなっている

 前回は怪我(けが)や持病があってもぐんぐん歩けるためのトレーニングや、正しい歩き方を説明しました。

 今回はまず「正しい姿勢」についてお話ししましょう。

 背中を丸めて猫背になったり、反り腰になったりして長時間ゆがんだ姿勢を続けると、腰痛や膝痛、肩こり、疲労感などの不調が起こりやすくなります。

 たとえば猫背も決して体がゆるんでいるわけではなく、背中側の筋肉が伸び、胸の筋肉が内側に閉じ、腹筋が縮まっている状態。猫背も反り腰も不自然な姿勢ですが、それでも何とかバランスを取ろうと背骨まわりを中心に力み(緊張)が生まれ、体の表面をとりまくアウターマッスルの脊柱起立筋がかなり無理な状態で頑張り続けているのです。

 その結果、背骨の動きが悪くなり、疲れやすくなってしまいます。

大谷翔平選手は
全身が脱力できている

 健康的で優秀なアスリート、たとえば大リーガーの大谷翔平選手などは、背骨が非常に柔軟でよくしなっているので、あの素晴らしいピッチングやバッティングができるのです。これは全身が脱力できている証拠でもあります。

 ゴルフで考えると飛距離を伸ばすためには腕力に頼るのではなく、体の無駄な力を抜いて背骨、肩甲骨、骨盤を使い、腕を素早く動かしたほうがいい成績が出ることが、何となく想像できるのではないでしょうか。

 スポーツをしていない方にとっても、これまで繰り返し述べてきたように無駄な力みは、痛みやコリの原因となる上、睡眠や精神状態にも悪影響を及ぼし、疲れや不調の原因にもなってしまいます。

 それでは早速、あなたの姿勢をチェックしてみましょう。