昨秋から数ヵ月にわたり、経済界の大きな関心事となっていた日本航空(JAL)の経営再建問題。去る1月19日、とうとう会社更生法の適用が申請されたことで、長年続いた国内航空業界の “大手2社体制”が実質的に崩壊した。近年稀に見る大規模な破綻劇は、日本経済にとって文字通りの「一大事」である。だが、JALの破綻は、我々一般人にとっても対岸の火事ではない。実は、日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性がある。その影響を、様々な角度から探ってみた(取材・文/友清 哲)
去る1月19日、日本航空(JAL)の経営破綻が決定的となった。再起の旗印として掲げた「ニッコーの日」(毎月25日)を、破綻直後に迎えることとなったのは、なんだか虚しくもある。
ともあれ、これからJALは管財人となった企業再生支援機構の主導で、経営再建を目指すことになる。グループ3社合計で2兆3000億円以上もの負債を抱えて破綻したJALは、新会長兼CEOに就任した稲盛和夫・京セラ名誉会長らの下で、幾多のハードルを乗り越えていかなくてはならない。
経営危機が現実的に報じられるようになった昨秋以降、JAL本社前から報道陣の人垣が消える日は、ほとんどなかった。連日連夜の報道を通じて、「日本のような小さな島国で航空会社が倒産することが、いかに重大な出来事か」を実感させられた人も多いだろう。
JALの破綻劇は、これまでの企業破綻のケースと比べて、識者や一般人の関心が格段に高かったことがうかがえる。日々の報道に加え、インターネット上において様々な分野の識者がJAL問題を語ったことにより、騒動が一層“劇場化”したフシもある。
たとえば、元ライブドアCEOの堀江貴文氏は、JAL破綻の翌日に、自身のブログでこう綴っている。
「実際のところ、今後JALが収益企業として再生するかどうかは怪しいものがある。立場が中途半端だからである。高級路線を目指すわけでもなく、かといって格安航空会社を目指すでもなく。だから、コスト構造も相変わらず高コスト体質のままだろう。ベンチャー企業のスカイマークのような徹底したコスト管理ができるかどうかといえば、出来ないに一票。図体がでかすぎるんだ」(*一部を抜粋して引用)
航空機利用の機会が多い実業家としての考察に対し、コメント欄にはJAL再建のための大小様々なアイデアが書き込まれ、世間の関心の大きさを感じさせた。