断食・ファスティングを台無しにする「危険なドリンク」写真はイメージです Photo:PIXTA

健康的にダイエットに取り組むには、バランスよく食べて、しっかりと栄養を取りながら体重を落としていくのが理想です。しかし、食べ過ぎが続いてどうしようもない時などは、断食やファスティングに頼るのも手。今回は、正しい断食やファスティングの方法についてお伝えします。(管理栄養士 岡田明子)

断食とファスティングの違いは?

 一般的に「断食」は一切食べ物を取らずに、水だけで過ごすというものです。古代の宗教的な儀式や修行の一部として行われてきました。古代ギリシャや古代エジプトでは、断食が身体や精神の浄化になると信じられており、仏教やヒンドゥー教では、長期間の断食による修行を通じて悟りを得られると考えられていました。

 一方で「ファスティング(fasting)」とは、日本語に訳すと「断食」を意味する言葉で、その起源は断食にあります。一定期間固形物を取らずに水と栄養素を含んだドリンクのみで過ごすというもので、近年では、美容や健康面でのメリットがあるとされています。

 両者とも、効果を得るためには正しいやり方を理解する必要があります。

 断食は一定期間カロリーを全く取らないので、一時的に体重は落ちます。急激に増えた体重を元に戻すには適当な方法といえるでしょう。 

 しかし実際に減った体重の大部分は、水分と筋肉です。体脂肪が減ったわけではありません。筋肉量が減ると代謝が落ちるため、結果的に太りやすくなります。断食中に運動は難しいかもしれませんが、日頃から運動を組み合わせて筋肉を落とさない努力も必要です。 

 また、長期間の断食はとても危険です。髪の毛が抜けたり、肌荒れしたり、女性は生理が止まったりと、体になんらかの不調があらわれます。断食期間が長くなればなるほど、健康被害が起こるリスクが高まります。

 最近では、24時間中16時間の断食タイムを設け、残りの8時間のうちに食事を取る「16時間ダイエット」という方法も出てきました。特に初めて行う際には、丸1日何も食べないのではなく、1日のうち数時間だけ試してみるなど、体調に合わせてトライするのがよいでしょう。