大企業で「仕事ができる人」が、中小企業で「仕事ができない人」になる“たった1つの理由”写真はイメージです Photo:PIXTA

人材の流動化が進み、大企業から中小企業に転職する人も珍しくなくなってきました。ただ、大企業の肩書や華々しい経歴から期待されて転職してきた人が、中小企業で活躍できない……というケースもよくあります。なぜなのでしょうか。(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)

大企業と中小企業
仕事をする上での違いとは?

 例えば、プロ野球で活躍した打者が草野球チームに入ると、打率10割に近い活躍ができることでしょう。同じように、大企業で働いていた人が中小企業に転職すると……。

 楽に活躍できると思うかもしれませんが、実は“痛い目に合う”人が少なくないと思います。

小宮一慶・小宮コンサルタンツ代表小宮一慶
小宮コンサルタンツ代表

 その理由は、厳しい言い方になりますが、元々の実力が足りていないことが多いからです。

 中小企業では周りに優秀な人材も少なく、資金力や設備なども大企業よりは劣ることも多いですが、それでも実力が十分にあればどんな環境でも通用するはずです。

 ビジネスパーソンに必要な能力は基本的に二つ、「思考力」と「実行力」です。思考力は考える力、実行力はその考えたことを実際に具体化する力です。

 こうしたビジネスパーソンとしての実力が不十分であっても、大企業の場合はそれなりに仕事ができます。大企業にはネームバリューもあり、また仕事の多くは、「仕組み」が出来上がっているからです。

 つまり、その名前と仕組みのおかげで、そこそこの「思考力」と仕組み通りにこなす能力があれば、ある程度の結果は出せてしまうのです。

 新しい仕組みを作るなど、よほどクリエイティブな仕事をしてきたのなら別ですが、多くの場合、仕組みが出来上がっている中で、自分や自分以外の人でもそこそこやれる仕事をしてきています。自分がいなくなっても、誰かがある程度無難に引き継げるくらいの仕事です。

 そうした仕組みの中で仕事をしてきたことを自分の実力だと勘違いしている人は、中小企業に転職してから成果を出すことにとても苦労するはずです。