仕事柄、デジタル系の新製品を毎日チェックしているが、最近特に琴線触れたのが「真空管アンプ」だ。

 オーディオマニアの世界では、以前から高級な真空アンプが一定の割合で売れていた。ところが、最近になってデジタル系の新製品情報に真空管アンプが登場し始めており、驚いた。特に、「iPod」を直接利用できる真空管アンプが何種類か登場している。

 つまり、音楽鑑賞のスタイルを変えた、「デジタルツールの究極型」とも言えるiPodが、「アナログの極致」とさえ言える真空管アンプと組み合わされたのだ。驚くべきミスマッチだが、興味を抱かずにはいられない。iPodと同等、もしくはそれ以上の価格の真空管アンプを買うユーザーがいるのは、ちょっと不思議な現象である。

デジタルとアナログのコラボ?
一見ミスマッチな新製品

VTS-384
ロックリッジサウンドジャパンの真空管アンプ搭載iPodスピーカー「VTS-384」(7万9800円)。デジタルとアナログの良さを併せ持つ。

 そこで、iPod対応の真空管アンプを発売している丸紅インフォテック MD本部マーケティング部の長南裕之氏と、ロックリッジサウンドジャパン商品企画室の佐川大介氏に、いくつかの質問を投げかけてみた。

 長南氏は、「確かに、最近、各社から真空管を使ったアンプが相次いで発売されており、オーディオ関連媒体での特集記事が増えるなど、露出が高まっていると感じます」と説明する。

 現時点ではブームと呼べるほどではないかもしれないし、今後もメインの商品になるほど爆発的に売れるとも思えないが、関心を持つ人が多いのは事実だろう。

 個人的には、真空管アンプは本格的なオーディオとしか思えない。だが、そこにお気軽なiPodを組み合わせる戦略はどこにあるのだろう。

 「特に奇をてらった製品ではありません。オーディオ製品としては非常に優れた真空管を手軽に楽しんでいただきたいという願いを込めて開発しました。iPodをセットしたら電源を入れて、ボリュームを上げるだけなので簡単ですよ」と佐川氏。

 では、「iPod+真空管」なら、肝心の音質はどうなのか?