
世界で最も存在感のある戦略コンサルティング会社「ビッグ3」の一角である米ボストン コンサルティング グループ(BCG)。超一流の人材と顧客を抱えるBCGのトップはグローバル経済や企業を取り巻く環境、コンサルビジネスの未来をどう展望しているのか。約37年にわたってBCGに勤め、2013~21年にはCEO(最高経営責任者)として同社の躍進に貢献したリッチ・レッサー会長のインタビューを3回にわたってお届けする。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、インタビューの後編として、レッサー会長がCEO時代に重視していたポイントや、BCGが「採用したい人材の条件」、優秀な人材を獲得するために実践していることを明かしてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
「数字目標を設定することは一度もない」
米BCG会長が明かすコンサル会社の経営術
――中長期的な成長の目標はありますか。
私はCEOだったときから数字目標を設定することは一度もありませんでした。私は目標を掲げることを信じていません。目標を設定すると、数字を達成することに集中してしまい、顧客への価値提供やチーム構築に集中できなくなります。
「売上高をいくら増やす」などと掲げるCEOがいることは知っていますが、私は一度もそうしたことがありません。ただ、過去を振り返るのではなく、未来を見据えて言いたいことがあります。
私が1987年に夏季インターンとしてBCGに入社して以来の37年間で、米アップルは年平均で14.4%成長しましたが、BCGも37年間で年平均14.4%成長した非常にユニークな存在です。もちろん浮き沈みがあり、一人の人間や一人のCEOのおかげではありません。1987年から残っているのは私くらいで、私は将来を楽観的に見ています。
CEO時代に「数字目標を設定しなかった」と語るレッサー会長。それではCEOとして何を重視していたのか。次ページでは、CEO時代に重視していたポイントや、BCGが「採用したい人材の条件」、優秀な人材を獲得するために実践していることを明かしてもらった。