1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!? 「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング#16

日本の経営者の報酬が低いと指摘されて久しい。それでも、実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1109人もいる。成果に見合った報酬を受け取ることは当然といえよう。ただし、大事なのは納得感だ。業績や株価が振るわなければ株主は不満を持つだろうし、なにより従業員の士気が下がる。そこで、鉄鋼業界の1億円以上もらう役員と従業員の年収格差ランキングを作成。特集『1億円以上稼ぐ取締役1109人はもらい過ぎ!?「年収1億円以上幹部」と従業員の年収格差ランキング』(全24回)の#13では、鉄鋼業界の年収1億円以上の経営幹部と一般社員の年収格差の実態を調査、実名ランキングで16人を検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

鉄鋼業界で年収1億円以上16人の実名
トップでも従業員年収と28倍の格差は低め

 日本の鉄鋼業界は世界を相手に戦っている。中国勢の安値攻勢にさらされているし、日本製鉄は米国でUSスチール買収に躍起になっている。

 その割には、幹部も一般従業員も年収は高くない。鉄鋼業界で年収が1億円を上回るのは16人だが、高くても2.39億円程度で他の業界の幹部に見劣りする。一般従業員でも平均年収が1000万円を超えるのはJFEホールディングス(HD)だけだ。

 一方、2025年3月期には神戸製鋼所が連結純利益でJFEHDと逆転し、業界2位に浮上した。今回の年収格差ランキングでも、逆転はあるだろうか。

 では、鉄鋼業界の幹部たちは、従業員の年収の何倍をもらっているのだろうか?業績に見合う年収を受け取っているのだろうか?

 ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。その経営幹部である人物の年収と従業員の平均年収を比較し、何倍の開きがあるかでランキングを作成した。数字が大きくランキングの上位にいるほど、従業員の待遇との格差が大きいことになる。

 また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかどうかの判断の参考にしてほしい。今回対象としたのは鉄鋼業界だ。

 鉄鋼業界の幹部で、従業員の年収と格差が大きいのは誰なのか?トップは日本製鉄の進藤孝生会長で、年収は2.39億円を受け取り、従業員との格差は28.82倍だった。他の業界では50倍以上開く幹部も少なくないから、格差は小さい業界といえよう。3位以降は20倍未満となっている。

 日本製鉄、神戸製鋼所、大和工業、JFEHD、大同特殊鋼といった企業の幹部たちの年収はいくらで、従業員の何倍をもらっているのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。