感情をぶつけたのぶと、責めなかった寛。今日の名言「平行線」【あんぱん第34回レビュー】『あんぱん』第34回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第34回(2025年5月15日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)

赤いバッグを
渡せなかった嵩

 海辺の素敵なロケーションで仲直りしたかと思ったら、シーソーの空き地で再び険悪になってしまったのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)。

 のぶは、幼い頃、やらかしたように「しゃんしゃん東京にいね」ときつい言葉を嵩に投げつけたことを後悔する。

 きついのをくらった嵩はがっくりして、せっかく買った赤いバッグを千尋(中沢元紀)に託す。

「好きな子ができたらプレゼントしろよ」と。それじゃ、結局、のぶのところに行くことになってしまう。でもそんなことはできるはずもなく。千尋の気持ちを知らない嵩の痛い行為。

 あげるなら、お世話になっている千代子(戸田菜穂)にあげればいいのに(ちょっと千代子の趣味には合わないかもしれないが)。しかも箱から出してむきだし。箱はどうした。

 一方、気分転換に散歩に出たのぶは、商店街で健太郎(高橋文哉)とすれ違う。箱の中身はなんだったのかと無邪気に問う健太郎に、のぶは答えず、ただ「すみません」と「嵩のことをよろしう頼みます」と頭を下げる。

 様子のおかしいのぶを見て、嵩との間に何かあったのだろうと気付いた健太郎は、さっそくメイコ(原菜乃華)を団子屋に呼び出した。