いよいよ“嵐”がやってくるぞ、と社内にハッパをかけたところだ。
当社の収益の柱であるデジタルカメラ事業は、上半期は予定どおりだったが、下半期に入って日本やドイツなどじわじわと勢いが落ちてきている市場もある。
ただ、デジタル一眼レフカメラ市場は相変わらず活況を呈している。先頃発売した「D90」は、デジタル一眼初の動画撮影機能が評価され、非常によく売れている。フル生産しても供給が追いつかないほどだ。新たなカメラの楽しみ方を提案することで、市場を活性化させたい。
もう一つの収益の柱である半導体や液晶の露光装置は、すでに嵐の真っただ中だ。
半導体メーカーでは、需要減少による半導体の価格下落で減産が相次いでおり、ほとんどのメーカーが設備投資を凍結している。半導体不況は来年も続くと見ており、長期戦に耐えていかなければならない。
荒天への準備はできている。年初から経営改革委員会を立ち上げ、社内カンパニーに予算を与えて任せていた設備投資を、委員会で一元管理して厳選するようにした。
ただ、嵐だからといってむやみにブレーキを踏むつもりはない。中国に建設するレンズ部品の新工場や、半導体露光装置の新棟建設への350億円の投資など、将来につながる投資は続けていく。
世界経済に吹き荒れている嵐は、来年いっぱいは続くと覚悟している。状況に応じてブレーキとアクセルを使い分けつつ、嵐が過ぎ去ったとき、全力で走れるよう体制を整えておくことが肝心だ。(談)
(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 前田 剛)