1913年に(大正2)に創刊した「ダイヤモンド」は、2024年に111周年を迎えた。そこで、大正~令和の日本経済を映し出す1年1本の厳選記事と、その解説で激動の日本経済史をたどる「111年111本」企画をお届けする。第20回は平成後期、2008~11年までの4年間だ。
【96】2008年
リーマンショックの余波
トヨタも創業期以来の大赤字
2008年9月15日、米大手投資銀行のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻した。背景にあったのは、07年から顕在化していたサブプライムローン問題による住宅市場の崩壊である。同社の倒産は世界的な株価下落、金融不安を引き起こし、経済の縮小を招いた。成長著しかったBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)なども例外ではなく、米国景気が減速しても、これらの新興国は影響を受けないという“デカップリング論"は、完全についえた。
2008年10月11日号では「世界大破局」と題した特集を組み、「80年前の、あの“大破局”の足音が聞こえてくる」と1929年の世界恐慌以来の世界的な大不況を懸念した。
日本経済も例外なく影響を被った。日経平均株価は08年10月の1カ月間に3割以上急落した。さらに市場を揺るがしたのは、11月6日、トヨタ自動車が2008年度(2009年3月期)の営業利益予想を期初の1兆6000億円から6000億円と、1兆円も下方修正したことである。この発表でトヨタの株は大幅下落。発表後1週間で時価総額は3兆5000億円も吹き飛んだ。