料理研究家・管理栄養士の関口絢子さん料理研究家・管理栄養士の関口絢子さん Photo by Wataru Mukai

ビジネスパーソンが体の不調を未然に防ぐことに役立つ「予防メシ」を紹介する連載。第4回のテーマは「血糖値」。血糖値が高いままの状態を放置すると、動脈硬化や糖尿病、がんの発症リスクが高まる。健康で長く仕事をするためにも、血糖値を正常値に収めておくことは欠かせない。高血糖の人にオススメの食材とレシピを教えてくれるのは、YouTubeチャンネル登録者数59万人をほこる料理研究家で管理栄養士の関口絢子さん。

体調不良を予防して、仕事と私生活の土台をつくる「食材・レシピ」をご紹介する連載「予防メシ」連載をフォローすると新着記事がメールで届くので、読み逃しがなくなります。

血糖値の上昇を抑える効果が
期待される“すごい食材”

 血糖値の過剰な上昇には食品のGI値(グリセミックインデックス)が関係します。特に精製した砂糖が大量に含まれる食品や異性化糖、果糖は血糖値上昇しやすい食品です。清涼飲料水や果物ジュース、甘いタレなどには異性化糖が多く含まれています。

 タンパク質、食物繊維、脂質は血糖値に影響しない栄養素なので、それらの比率を高めることで間接的に血糖値上昇を穏やかにすることができます。

 もちろん、食べる量が多すぎる人は、比率を下げても糖分の摂取量が増えてしまいます。

 またヨーグルト、お酢、レモン汁などは食後血糖値の上昇を緩やかにするので、食事の前に酢の物を摂るのも効果的です。

 食べ方でも血糖値を上げにくくすることができます。食物繊維の多い食べ物を先に摂るベジファーストによって、血糖値上昇を緩やかに抑えられると言われています。

 高血糖の主な原因は、遺伝的な要因のほか、肥満や過食、運動不足、ストレスなど、生活習慣が関係しているといわれています。生活習慣の乱れによって、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなり、血糖値が上がりやすくなるのです。

 炭水化物など糖質が含まれるものを食べると血糖値が上昇しますが、通常はインスリンによって下降することで正常値に戻ります。高血糖とは、血糖値が高い状態のまま戻らないことをいいます。長時間続くと血管にダメージを与えられて動脈硬化につながったり、糖尿病を引き起こしたりするリスクが上昇します。

 高血糖と診断されるのは、空腹時血糖が110mg/dl以上である場合です。食後高血糖と呼ばれるものもあり、食事から2時間後の測定値が140mg/dl以上だった場合に診断されます。

 肥満になると、体がインスリンをたくさん必要とするようになることがあります。この状態が続くと、体内で糖を処理する仕組みがうまく働かなくなり、血糖値が高くなる原因となるのです。

 過度なストレスが血糖値を上げる理由は、交感神経の活発化によるグルカゴン、甲状腺ホルモン、アドレナリンの分泌促進です。これらのホルモンは血糖値を高める作用があります。

 慢性的な運動不足が血糖値を上げる理由は、インスリンの効果(インスリン抵抗性)が低下するからです。運動をして筋肉量が増えると、インスリンの効果が高まり、血糖値を下げる機能が向上します。