中学受験のプロである安田理さんに中学受験の新常識を教えてもらう連載。第3回は「宗教校」。子どもたちの人間性を育てる「家庭では真似できない教育」とは。社会に出てからこそ役立つ実用性の高さも兼ね備えた一風変わった授業を取り入れる学校を2校ほど紹介する。(聞き手・構成/教育アドバイザー 鳥居りんこ)
「自分の意見を言える子を育てる」
宗教校ならではの教育
――安田さんは私学の今昔物語を知る生き字引でもあります(笑)。最近の私学について思うところはありますか?
学校が制作するパンフレットが、学力をいかに伸ばすかというシステムを説明するものが増えたように感じます。
少し前は、全人教育といった言葉を掲げて人間性を育てることに力を入れていることをアピールする学校が多かったのですが、近年は減っています。残念な傾向ですね。
カリキュラムやキャリア教育といった具体的な施策で学校を判断することも大事ですが、「どんな人間を育てようとしているのか」という学校の姿勢を確認することも同時に大切にしてほしいですね。
――前回は「変わる私学」のお話でしたが、私学には「変わらない良さ」もあるように思います。
不変であるべきは、創立者がどのような「人間を育てようとしたのか」という創立者の思いです。特に中高時代は人生の中でいちばん感受性が豊かな時期なので、人格形成に大きく影響します。
私は「自分の判断軸は外側に持つのではなく、自分の内に持つべきものだ」と考えています。つまり他人の価値観に合わせるのではなく「自分自身がどう考えるか」を大切にしてほしいということです。