「ベンチャー転職は無謀」「ワーホリは逃げ」という考え方は時代遅れ。少し前まで白い目で見られた“転職の失敗”や“キャリアの空白”が、転職市場で高く評価されるようになった。2万人の転職を支援してきた転職のプロが「求める人材像の激変ぶり」を解説する。「失敗」と「空白」は転職の武器だ。(クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)
「キャリアの空白」に対する評価が
以前から大きく変化した理由
仕事を続ける中で、現職に嫌気がさす。あるいは別にやりたいことができて「どうしようかな」と考えた経験は誰でもあると思います。
そのとき、転職先を決めずに退職し、ワーキングホリデーで海外へ出かけたり、資格の勉強に取り組んだり、MBAを取得するため大学院に通ったりする人がいます。単に「ちょっと休んでから」転職活動を始める人もいるでしょう。
こうした「キャリアの空白」をつくる決断をしても大丈夫か、と心配する人は少なくありません。実際、昔ならその答えは「あり得ない」が常識的な答えでした。「転職先を決めずに退職するのはもってのほか」、「ワーホリは『逃げ』」、「MBA進学ならアイビーリーグの名門校に限る」という具合です。
しかし現在は違います。自分の内側から湧き上がる「これをやりたい」という気持ちを抑える必要はまったくなく、ケースバイケースで判断していけばよいでしょう。私自身も「キャリアの空白などあり得ない」という従来の考えを捨て、改心しました。
VUCAの時代に求められる
人材のバリューとは?
キャリアの空白に対する社会の認識が180度変わったのは、ビジネスの大前提ががらりと変わったからです。変わり始めたのは21世紀に入る前後くらいでしょう。
とはいえ、その頃でも標準的なキャリアのレールとスケジュールがあって、そこから外れた人はレールに戻るのは難しい状況にありました。さらに私が就職した時代にさかのぼると、転職そのものがご法度でした。