コンビニエンスストアの総菜や生鮮食品分野への本格参入で押されていた食品スーパーが輝きを取り戻している。コンビニがシニア層や主婦の顧客を取り込もうと、数年前から一斉にレトルトや冷凍食品の総菜の取り扱いを開始し品ぞろえを拡充した。これに対し、いわば「牙城」に攻めこまれた格好の食品スーパーは軒並み業績が悪化、不振が続いていたが、このところ様子が違う。大手食品スーパーを中心に好業績が相次いでいるのだ。食品スーパーの反転は、得意分野の生鮮食品、総菜の品ぞろえやその方法を再強化したことはいうまでもないが、実はバックヤードや調理場の密かな改革が支えていた。(流通ジャーナリスト 森山真二)

「ギラギラ弁当」から総菜への転換で
コンビニは息を吹き返した

惣菜といえばスーパーや街の専門店の専売品だったが…

 最近のコンビニ、いつの間にかに総菜が増えたとは思いませんか――。

 総菜といえばスーパーや街の専門店の“専売品”だったが、この総菜などの導入を進めたことで低迷状態だったコンビニが息を吹き返したといっても過言ではない。コンビニといえばかつては男の店、高カロリーの「ギラギラ弁当」が主流だった。

 さらにいえば、たばこと缶コーヒーが主力商品。これでは将来、成長の限界がくる。そこで6~7年前から、来店客として少なかったシニアや女性の取り込みを開始したのだ。

 セブン-イレブン・ジャパンやローソンなど大手チェーンが競うようにパウチタイプのハンバーグやポテトサラダ、焼き魚、餃子などとスーパーの得意分野である総菜類の商品開発を強化したり、豆腐や納豆などの日配食品に加え、野菜や精肉など生鮮食品を導入したりした。男の弁当、「ギラギラ弁当」は脇に追いやられ、まるでミニスーパー化していき、今の姿がある。

 攻め込まれたはずのスーパーでは当初、「コンビニと我々では業態がまるで違うから、競合しない」(大手スーパー首脳)と高をくくっていたが、コンビニが総菜を強化して以降、スーパーの業績は悪化、2010年ごろから売り上げが鈍化し大手・中堅含め減益決算が相次いだのだ。

 例えば食品スーパー大手のライフコーポレーション。コンビニ大手が一斉に総菜、生鮮食品を拡充し始めた2010年以降の業績は既存店売上高が前年割れ、さらに10年2月期、11年2月期は当期利益も減益だった。

 首都圏地盤のマルエツ(現ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス=USMH)の10年2月期も売上高自体が前年割れで、本業の儲けを示す営業利益も減益だった。思わぬコンビニの総菜分野への本格参入で、食品スーパーは軒並み業績を悪化させた。