甥の結婚披露宴での受難
むくんでズキンズキンと痛む足

「あ~あ、またやっちゃった。つらいなぁ」

 有希子さん(仮名・38歳)は、トイレの便器に腰かけ、エナメルパンプスを脱いだ自分の足を見つめながらつぶやいた。

 薄いベージュのストッキングに包まれた足先は、親指と小指の付け根が赤く腫れている。甲にはくっきりとパンプスの跡が付き、足首からふくらはぎにかけて二回りほど太くなったように見える。足首のくびれは消え、まるで鉄腕アトムか魔法使いサリー、ルーズソックスのようなフォルムだ。膨らんだ足の甲全体が、心臓になったみたいにズキンズキン痛む。

 むくんでしまったのだ。

 今日は、夫・克彦さん(仮名・45歳)の甥の結婚式。都心の教会で挙式した後、瀟洒なレストランに移動しての披露宴となった。

 履きなれないハイヒールでの歩行と長時間の会食はむくみを呼ぶ。

「車で行くってわけには、行かないよね…」

 日頃から脚がむくみやすい有希子さんは朝から心配で、さりげなく克彦さんに聞いてみた。

「そうだね、2次会は行かないにしても、たぶん兄貴たちと飲むことになるから。君も付き合ってくれるんだろう。だったら運転はやばいよ。大丈夫、休日だから帰りの電車も空いてるから座れるよ」

 明るく笑われた。

 (私が心配なのは電車の混雑じゃなくてむくみなの)と言いたかったが、おめでたい気分につまらない話題で水を差すのは気が引けて、やめた。

 でも、言えばよかったと今、猛烈に後悔している。

 諦めて、むくんだ足をギュウッと突っ込むと、華奢なパンプスははちきれそうに膨れ上がった。