「身体に良い」を追求する妻
エアコンは来客時しか使わない
(うぅ~暑い、俺は今年も、熱中症にならずに生き延びることができるだろうか?)
梅雨の中休みの晴れた日、貴之さん(仮名・43歳)は照りつける陽光に炙られながらつぶやいた。
もはや夏の東京は、世界一過酷で不快な気候…といっても過言ではないと、貴之さんは思う。それなのに、妻と小学生の息子2人に幼稚園児の娘1人、計5人家族の彼の家ではエアコンをほとんど使わない。
妻の美羽さん(仮名・44歳)が、使わせてくれないのだ。
「エアコンで身体を甘やかすのはよくないわ。日頃からしっかり汗をかいて、汗腺を鍛えて、身体も動かして、気候変動に負けない子どもに育てたいの」
イマドキ珍しい3児の母として、家族の健康管理に情熱を傾ける妻の想いに水を差すなんて、温厚な貴之さんには絶対できない。
食事から衣類、住空間に至るまで「身体によい」を勉強し、追求する美羽さんはよくできた女房だとも思っている。
だから、ひたすら耐える。
「エアコンのスイッチを入れるのは来客時だけ。我が家にとってエアコンは『おもてなし』。日常の存在ではないんです」
妻がエアコンを付けたくない理由
冷房病で退職を余儀なくされた過去
とはいえ、熱中症情報が飛び交う昨今、エアコンをつけたくない妻の分は相当悪い。
熱中症までは行かなくても、暑さで寝不足になった貴之さんに万が一のことが起きたらどうしよう。