1粒100円の梅干しに大行列!「とまと梅」の正体「ふるさと祭り東京」の和歌山県ブースでは、とまと梅が大人気

「ふつうの梅干しではありえない光景です」(芦硲さん)

 狙った通り、若い人が「美味しい」と食いついた。「とりわけ若い女性に好評でした」と芦硲さん。梅干し嫌いでも「甘くて食べやすい」と大絶賛。そのうえ、試食後の買い上げ率に関係者も驚いた。

 とまと梅は100グラムあたり500円(1粒100円)と高値にもかかわらず、「2016ふるさと祭り東京」では、1日あたり約2000個、100万円を売り上げ、10日間トータルの販売額は約1000万円。和歌山県ブースでの売上の主力商品となり、「とまと梅」の真っ赤なパネルの前は大行列だ。

 8月末からは、和歌山県内のセブン-イレブン54店舗において、個包装で1粒100円で販売されている。

 さらにJA紀州では、梅干し造りの常識を覆した“食塩不使用”の梅干し「塩零梅」も開発。こちらも、とまと梅に続くヒット商品となっている。

フランスでも梅干し大絶賛!
わさびよりもニーズ高し?

 国内での消費だけではなく、やはり期待されるのが海外輸出だ。

 梅干しの酸味は国によって好き不好きがあるという。「梅になれている中国、東南アジアは比較的受け入れやすいようですが、アメリカ、EUは未知数」と平さん。しかし、必ずしも可能性がないわけではない。

 2014年、とまと梅は、経産省「第10回魅力ある日本のお土産コンテスト飲料・食品部門」で、外国人審査員たちの選考のもと、グランプリを受賞している。

「海外でブレイクする可能性はおおいにある」と語るのは田辺市の梅加工メーカー中田食品営業部企画開発課の小串慎一さん。

1粒100円の梅干しに大行列!「とまと梅」の正体「にっぽんの梅干し展inフランス」(主催:BambooCut)では、パリジャン、パリジェンヌからも梅干しが大好評

 中田食品は、昨年、パリで開かれた「にっぽんの梅干し展inフランス」で梅干しの試食を行った。梅干し入りのお弁当は「おいしい」と評判も上々。アンケートをとった結果、意外にも「苦手なのは1割くらい」(小串さん)だったのだ。かくして、同社の主力商品である、塩分5パーセントの梅干し「梅なでしこ」は100g10ユーロにもかかわらず、初日で完売した。

 イベント期間中、パリ市内のビストロで、シェフの協力のもと梅干しを使ったスペシャリテを提供した。梅干しを使ったソースをかけた肉料理はフルーティで、さわやかな酸味と甘みがぴったり、特にジビエに梅は最高と大絶賛された。

 いまパリで人気が高まっているわさびやゆず、抹茶より、むしろ梅干しのほうが、料理やスイーツなどに使い勝手がいい、という声もあり、日本独自の調味料としてのニーズがあるのでは、と小串さんは語る。中田食品ではパリの日本食販売店での販売を強化していく予定だ

 世界への可能性も秘めた和歌山の梅。じつは、梅干しの先鞭をきっている商品がある。いま海外で「梅酒」がブレイクし始めていた。(次回に続く)

★取材ご協力
みなべ町 うめ課
岩本食品
中田食品
JA紀州