圧倒的ないちごの生産量を誇る栃木県。生産量のみならず、作付面積、産出額も日本一の座に輝いている。前回紹介したように、そんな無敵のいちご王国に「強敵」が現れた。福岡県「あまおう」である。
「あまい、まるい、おおきい、うまい」というその名の由来のとおり果実が大きく、赤くてつやがあり形が整い、果実糖度が高いあまおうは、大ブレイクした。
「あまおう」を前に、栃木がいちご王国としての地位を揺るぎないものにするためには、なるだけ早く、新ブランドが必要だった。そこで「栃木県農業試験場 いちご研究所」が、17年の歳月をかけて開発したのが「スカイベリー」(品種名:栃木i27号)だ。2011年からは、生産者たちによる試験栽培がスタートした。
とちおとめより病気・寒さに強い
大粒いちご「スカイベリー」の凄み
栃木市惣社町のいちご生産者・谷中克巳さんは、2012年からスカイベリーの試験栽培に携わっている。
いちご栽培43年の谷中さんのハウスを訪ねると、たわわにいちごが実っていた。
「とちおとめは、生食にも加工にも向いている、オールラウンドないちご。今年で誕生20年を迎えます。技術的にも確立して収量も上がり味も安定しています」と谷中さん。
「ただ、消費者の慣れというのもあるんでしょうかね……。1パックあたりの単価が落ちている状況で収益が伸び悩んでいました」
いちごの選果、パック詰めという手間のかかる作業を効率化するためにも、とちおとめより、大粒のいちごがあればという期待もあったという。
スカイベリーは、生産者にとっても希望の星だったのだ。
谷中さんが「あれがスカイベリーです」と指さした。
大きい!
一般的ないちごがだいたい17、18グラムのところ、スカイベリーは25グラム以上の果実の発生の割合が1株あたり約3分の2を占める。手に持つとズシッと重い。
しかも、ほれぼれとするほど、そのラインはピシッとした円錐形。色は濃赤橙色、品のあるつややかな光沢で、絵に描いたようなうっとりするほど美しいいちごだ。