「この遺言書は絶対おかしい!」→家族が取れる意外な“救済策”とは?
大切な人を亡くした後、残された家族には、膨大な量の手続が待っています。しかも「いつかやろう」と放置すると、過料(行政罰)が生じるケースもあり、要注意です。本連載の著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超え、現場を知り尽くしたプロフェッショナルです。このたび、最新の法改正に合わせた『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』が刊行されます。本書から一部を抜粋し、ご紹介します。

「この遺言書は絶対おかしい!」→家族が取れる意外な“救済策”とは?Photo: Adobe Stock

「この遺言書は絶対おかしい!」→家族が取れる意外な“救済策”とは?

 本日は「遺言書と相続」についてお話しします。年末年始、相続について家族で話し合った方も多いかと思います。ぜひ参考にしてください。

 故人が遺言書を残していれば、遺族が行う相続手続は格段に楽になります。ただ、遺言書にまつわる特有の注意点もありますので、一緒に確認していきましょう。

遺言書の探し方

 まずは、故人が遺言書を残していたかどうかを確認しましょう。公正証書遺言の場合は、全国の公証役場に設置されている「遺言検索システム」により確認することが可能です。故人の戸籍謄本と、検索システムを使う相続人の戸籍謄本を公証役場に持っていけば、故人が公正証書遺言を残していたかどうかを検索することができます。検索するだけなら、故人が遺言を残した公証役場でなくてもOKなので、最寄りの公証役場に行きましょう。

 ただし、遺言検索システムを利用した結果、遺言書が残されていることが判明した場合、その遺言書の請求は、最寄りの公証役場ではなく、遺言が実際に残されている公証役場でする必要があります(郵送により交付を受けることも可能です)。なお、当然ですが、遺言書を残した本人が亡くなる前に、家族がその人の遺言書を検索することはできません。

 それ以外の遺言(自筆証書遺言)の場合には、仏壇の中や、金庫や貸金庫の中、ベッドの下、通帳などを保管している引き出しの中などに保管されていることがあります。「遺言書なんて残していないだろう」という先入観から遺言書の有無を確認せず、遺産分割協議が終わった後に、発見される場合もあります。先入観にとらわれず、一度、しっかり確認しましょう。

「この遺言書はおかしい!」そんなときはどうすれば?

 故人が遺言書を残していたとしても、原則として、相続人全員の同意があれば、遺言書に書かれた分け方にせず、相続人の話し合いにより遺産の分け方を決めることも可能です。

 ただ、あくまで相続人全員の同意が必要となるため、1人でも「私は遺言書の通りに遺産を分けたい」と言う人がいれば、遺言書の通りに遺産を分けることになります。

知っておくべき2つの例外

 例外が2つあります。1つは、遺言執行者が定められている場合です。遺言執行者とは、遺言書の通りに遺産を分けることを任された人のことで、相続人以外の人や信託銀行等の法人が指定される場合があります。この指定がある場合、遺言の内容以外の分け方にするためには、遺言執行者の同意も必要となります。

 もう1つは、相続人以外の人に財産を残す旨(遺贈の旨)が、遺言書に書かれていた場合です。この場合は、その指定された人の同意もない限り、遺言書の内容を変えることはできません。

 相続人全員の同意のうえ、遺言書の内容を変更することは、実務上、よくあります。最も多いケースは、「遺言書の通りに遺産を分けてしまうと相続税が非常に高額になってしまうケース」です。相続税は遺産の分け方次第で何倍にも増えてしまう恐ろしい税金だからです。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続「手続大全」【増補改訂版】』の一部抜粋・加筆を行ったものです)