また、事業仕分け人でもある初鹿議員によると、普及啓発予算がカットされる中、民主党政権は来年度、自殺対策に3倍増の予算を付ける方針だったため、ヒヤリングで役所の担当者に「どんなことをされるのですか?」と聞いて驚いた。

「ポスターは今まで作っていたので、今度は電車に吊り広告を乗せます」と答えたという。

「電車の吊り広告に“自殺をやめましょう”と書いて、自殺しなくなると思っているのですか?」

 と議員が聞くと、担当者は絶句してしまったというのだ。

 この自殺対策には、他のパネリストも「ポスターを貼っても自殺が減らないことは、各国で証明済み。他国の責任者に聞けば、びっくりされます」と苦笑していた。

 当たり前の話だが、自殺対策の普及啓発は非常に大事とはいえ、厳しい財源の中で、的確に効果の上がることに税金を使わなければ、意味がない。パネリストからも、政策は思いつきではなく、当事者や家族のニーズに基づき、予算を付けたら、きちんと厳しい評価をすべきだとの意見が出た。

 また、コーディネーターから、引きこもりについても、診療報酬が高くなれば、医師は一生懸命になるのではないか?との提案が出されると、会場から拍手が起こった。

 初鹿議員は、来年度予算編成の「全省庁1割削減」方針の中で、新しい政策をコンテストする「元気な日本特別枠」が設置された話を披露。インターネット生中継という公開の場で、各省庁の担当者が財務当局にアピールし、優れていた政策から予算を付ける。その中に、今回話題のアウトリーチ事業も入っているという。

 今後、家族らは、特別枠の行方に希望を寄せることになりそうだ。

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