肉牛牧場でのひと言

 そんな肉牛牧場の主に言われたのが、「酪農より全然楽だろ」ということ。
NZでは、酪農より肉牛牧場のほうがステイタスが上。
 実際、酪農家の夢は肉牛牧場のオーナーになることでした(NZでは牛、採乳施設付きの牧場ごと売り出されたりしますし、肉牛牧場もまるで中古車の売り出しのように雑誌に載っていたりしました)。

楽することがランクアップすることという価値観……これには驚きました。
 日本で仕事をやる感覚では、社内で大変そうにしなきゃという雰囲気だったので、まさに目から鱗でした。
 この意識の差が日本語の「がんばろう」と英語の「take it easy(気楽にやれよ)」に出ていますよね。

 宗教思想家のひろさちや氏がフランス人に、「仕事をさせてもらえない窓際族」について語ったところ、そのフランス人が、「その人は会社にどんな貢献をしてそんな恵まれたポストが与えられたのか?」と尋ね返されたとのこと。

 まあ、今は「窓際族」というのも死語ですが、グローバル化でどの業種も競争が激化し、そんな社員を置いておく余裕もありません。
 ただ、「窓際族」という言葉がかわいそうととらえられていたこと自体、日本人は働くこと=美徳と思っていて、今もその風潮は根強く残っています。