Photo:Middle East Images via AFP=JIJI
イスラエルと米国によるイラン攻撃を受け、中東情勢はホルムズ海峡の実質封鎖を伴うまでに悪化している。戦闘が長期化すれば原油価格は100ドル超えが続く可能性は十分にある。日本経済への打撃は大きなものになるが、中東依存度の高さゆえに原油のみならずナフサ供給の混乱を通じて化学産業や広範な製造業に打撃が及ぶ可能性がある。(マーケット・リスク・アドバイザリー共同代表 新村直弘)
崩れた米国のベネズエラ型の
統治移行シナリオ
2026年2月28日、イスラエルと米国によるイランへの大規模攻撃の狙いは、イスラエルがイランの長距離ミサイルの発射能力を無力化することにあったと考えられるが、それを達成するには米国の支援が必須だったため共同作戦となったようだ。
しかし問題は、これら3国のみならず周辺のアラブ諸国も巻き込み、深刻な被害をもたらしている点である。今回の爆撃でイランの最高指導者ハメネイ師が殺害された。
米国側は「主要メンバーを殺害した後に、穏健派の後継者を据えるベネズエラ型の統治移行」を想定していたようだが、イスラエルの攻撃で主だった後継候補が殺害されてしまったため、このシナリオが崩れた。
この結果、世襲となるがハメネイ師の次男であるモジタバ師が後継者となった。対米強硬派とされるモジタバ氏からすれば、このタイミングで米国やイスラエルと和平に進むとは考えにく
く、戦闘は長期化の様相を呈しつつある。結果としてアラブ諸国を巻き込む形での戦闘が継続しており、それが世界経済に与える代償はあまりに重いものとなりそうだ。
次ページでは、今回のイラン攻撃の今後の推移を検証しつつ、シナリオ別に原油価格の先行きを予測する。








