世代間抗争――。

 若い社員を抜擢すると、年上の社員はとかく嫉妬やジェラシーを感じるものだ。なかには、引きずり下ろされる若手エリートもいる。

 連載5回目は、少し趣向を変え、“年上の部下”に執拗に陥れられそうになるものの、あわやというときに「負け組」に陥ることなく、それを上回るしたたかさで苦境を乗り越えた30代の部長を紹介しよう。

 社内抗争により、否応なく「負け組」に陥る会社員は後を絶たない。リベンジの糸口さえ見つけられずに意気消沈している人も多いだろう。もしそういう読者がいれば、「彼の行動のどこが優れていたのか」を注意しながら読んで欲しい。

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■今回の主人公――はい上がった「負け組社員」

高知 勲(39歳)仮名

大手電機メーカーの関連会社(社員数900人)の若き営業部長。大手製薬会社から中途採用試験を経て入社。営業成績はよく、なかなかしたたかでもある。時おり感情的になり、揚げ足をとられることも。年上の“労組出身の部下”への対応に苦慮している。
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(※プライバシー保護の観点から、この記事は取材した情報を一部デフォルメしています)

労組と経営陣の慣れ合いを叩き潰す
“30代エリート部長”が広げる波紋

 「今回は、30代の営業部長が誕生します……」

 管理職会議で、人事異動と昇進についてアナウンスがなされた。

 部長になるのは、仙台支社課長を務める39歳の高知勲だ。

 「高知……? 誰、それ?」