2010年もあとわずか。1年を総ざらいする様々なランキングが発表される頃だが、この中でコンビニエンスストア発の「2010年ナンバーワン・スイーツ」に君臨するのが、ローソンの「Uchi Cafe SWEETS プレミアムロールケーキ」だ。
ランキング例を挙げれば、「日経トレンディ」が選ぶ「2010ヒット商品ベスト30」(11月2日発表)では、1位の「食べるラー油」、2位「3D映画」、3位「スマートフォン」に次いで、堂々の4位にランクインした。
さらに今年4月には、約半世紀の歴史と権威を持つ世界的な食品のコンテスト、2010年度「モンドセレクション」製菓部門において、金賞を受賞した。コンビニのオリジナル・チルドデザートが同賞を受賞するのは、初めての快挙だという。
このプレミアムロールケーキ、人気の秘密は何といってもその高級感にある。ローソンが独自に開発した生クリームは、北海道産の生乳を使用し、ミルク感たっぷりの柔らかい純生クリームに仕上がっている。
また「しっとりしている」と評判のスポンジには、神戸の製粉メーカー「宝笠印」のブランド小麦粉を使用。150円(税込)という価格ながら、パティシエ仕様の原材料がふんだんに使用されている。それは、ローソンが提唱する“ちょっといいもの”を徹底して追求した結果だ。
もう1つの理由は、女性ニーズの掘り起こしに徹したこと。コンビニのユーザーの7割は男性だ。しかし、3割の女性に訴求することにこだわり、マーケティングを重ねた。その中で「美味しいクリームが食べたい」「オフィスでは手で食べるのが恥ずかしい」「1本のロールケーキは完食できない」という回答から、「個食タイプ」「スプーンで食べるスタイル」という発想に繋がったという。
筆者も何度か食したことがあるが、シルクのような舌触りのスポンジと濃厚なクリーム、そしてスプーンでいただくという新鮮さも相俟って、心まで満ち足りるような充足感を味わったものである。
テレビCMでは、俳優の西島秀俊氏とバイオリニストの高島ちさ子氏を起用。「なんにもない日、おめでとう」をキャッチコピーに、何気ない日常にあるちょっとした喜びをさりげなく表現していて印象的だ。
2010年を代表する一連のヒット商品のキーワードは、「プチ贅沢」だという。長く続いたデフレ不況で、節約を余儀なくされてきた消費者たちが、身の丈に合ったささやかなリッチ感を満喫できるアイテム――。そんな「プラスアルファ」の付加価値こそが、厳しい選択眼と審美眼を備えた現代の消費者たちに、広く支持されたのだ。
さて、2011年はどんなデザートがヒットするのか。熾烈な競争が繰り広げられるコンビニ市場において、来年の動向も楽しみである。
(田島 薫)