40~50代がハマる「介護の落とし穴」両立支援のプロが「仕事を辞める必要はまったくない」と言い切るワケ写真はイメージです Photo:PIXTA

急速な高齢化に伴い、いま、働きながら家族を介護する「ビジネスケアラー」が増えている。とはいえ、いざ家族の介護が必要になると、何をすれば良いのか分からず、困ってしまう人が大半ではないだろうか。ビジネスケアラーの「仕事と介護の両立」を支援する企業を取材した。(吉田由紀子/5時から作家塾(R))

5年後には300万人がビジネスケアラーに

 急速な高齢化に伴い、いま、働きながら家族を介護する「ビジネスケアラー」が増えている。

 2024年3月に発表された経済産業省の「仕事と介護の両立推進に向けた経営者向けガイドライン」によると、2030年には家族を介護する人が833万人に増加し、そのうち318万人(約4割)が、働きながら介護するビジネスケアラーになると試算されている。両立困難による労働生産性の低下と介護離職を含めると、日本の経済損失は約9兆2000億円に達すると予測されている。

 さらに、少子高齢化が進む日本では、団塊世代が後期高齢者になり、その子ども世代である団塊ジュニアなど、働き盛りの40~50代が介護を担うケースが急増している。加えて、兄弟姉妹が少なくなり、共働き家庭が一般化したため、以前のように家族間で介護を分担することが難しいのが現状だ。その結果、「仕事と介護の両立」は、もはや当たり前の時代となっている。

40~50代がハマる「介護の落とし穴」両立支援のプロが「仕事を辞める必要はまったくない」と言い切るワケ仕事をしながら家族を介護する人は、5年後には318万人まで増加すると予測されている

 とは言え、いざ家族の介護が必要になると、何をすれば良いのか分からず、困ってしまう人が大半ではないだろうか。どうすれば両立できるのか? どんな方法があるのか? ビジネスケアラーの「仕事と介護の両立」を支援する企業を取材した。

 チェンジウェーブグループは、2016年から企業を対象とした仕事と介護の両立支援を行っている。実態調査、研修から相談窓口まで多様なサービスを提供しているが、代表的なのが「LCAT」という仕事と介護の両立支援プログラムである。企業の従業員用に開発したもので、介護リスクを可視化したうえで両立に必要な知識・情報を習得するeラーニング型のプログラムになっている。ビジネスケアラーが増加の一途をたどる中、導入企業は増え続けている。