吉野家を悩ませた「大量の玉ねぎゴミ」問題、秒で解決した「魔法の装置」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

日本の食料廃棄量は2531万トンで
東京ドーム約20杯分

 物価の上昇が続いている。食品などの生活必需品が値上がりし、家計を切り詰める家庭が多いだろう。こういった状況とは裏腹に、日本では大量の食料が廃棄されていることをご存じだろうか。

 現在、日本の食料廃棄量は年間798万トン。これは「可食部」に限定した数字で、食べられる物の廃棄量に過ぎない。

「不可食部分」(野菜の芯や皮、ヘタなど通常は食べない部分)を含めると、食料廃棄量は2531万トンにまで膨れ上がる。これは東京ドームの容積(約124万立方メートル)で換算すると約20杯分だ。

 さらに生産地で発生する規格外や生産余剰作物などを含めると膨大な食料を私たちは日々廃棄している(数字は令和5年農林水産省の調査より)。

 廃棄に伴う自治体のごみ処理経費は、年間2兆1450億円。国民1人あたり換算すると、1万6800円にものぼる。

 実例を紹介しよう。ある大手食品メーカーでは年間数万トンもの野菜残渣(ざんさ=端材)を排出しており、数億円かけて産業廃棄物として処理している。産業廃棄物は運搬や焼却時に大量の二酸化炭素を排出するため、環境悪化の一因になっている。特に水分を含んで傷みやすい野菜残渣は輸送効率が悪く、乾燥させようにも既存の方法だと時間やコストがかかりすぎるという問題がある。