米国の危機管理能力に対する
信頼が崩れた「情報の9.11」

 米政府が敵対するイランやアフガニスタン政府への偵察行為を行っていたのは、さして驚きに値しないものの、同盟国である英国などに対してもスパイ活動を命じていたことは、米外交にとってきわめて深刻な事態を及ぼす可能性がある。

 また、各国首脳の本音が漏れたことも大問題になっている。たとえばサウジアラビアのアブダビ国王が、隣国イランの核開発を止めるために空爆を繰り返し要求していたことなど、安全保障上、危険な状況を作り出す可能性が高まっている。

 また、パン・ギムン事務総長を含む国連幹部の個人情報、とりわけクレジットカードの暗証番号や通信システムのパスワードを盗み見ていたことが判明したのは、米国政府の信頼性を毀損するに十分である。

 オバマ政権は、最高機密情報に関してはひとつも漏れていないとして問題の矮小化に必死だが、各国政府からしてみれば、米国の危機管理能力に大いなる疑問符がついてしまったのは確実である。

 だからこそ、イタリア外相が称したように、「9.11」に匹敵する外交上の大問題だと、世界中で大騒ぎになっているのである。

 ところが、いつものことだが、日本政府の反応は限りなく鈍い。

7月の米軍のイラク戦争情報漏洩時も
日本だけが世界とは違う鈍感さを露呈

 7月末、同じようにウィキリークスがイラクに展開する米軍の情報を漏洩したことがあった。世界中が同じような大騒ぎになり、各国政府は対応に追われていた。

 ところが、日本だけは違ったのである。

 7月27日、岡田外務大臣の会見に出席した私は早速、この点について質した。