そこで、日銀は“オーバーシュート型コミットメント”を導入し、消費者物価指数の“実績値”が安定的に2%の目標を超えるまで、マネタリーベースの拡大方針を継続すると、フォワードガイダンスを強化した。以上は、2013年4月来、日銀が進めてきた金融政策には相応の効果があり、今後も量・質・金利の3次元で物価上昇を実現させるという、意思表明でもある。

顕著な効果は期待しづらい?不透明な
長短金利操作付き量的・質的金融緩和の効果

 日銀は長短金利操作付き量的・質的金融緩和によって、金融政策の柔軟性、持続性が高まり、より強力な金融緩和が進むとしている。では、従来の金融緩和に比べて、何が強力になったのだろう。

 結論を述べると、持続性が高まった以外、顕著な効果は期待しづらい。これまでの金融緩和の顕著な効果は、急速な金利低下だった。1月のマイナス金利導入後、一時は40年国債の利回りが0.1%を下回るほど、急速に金利は低下した。理論上、金利低下は資金調達コストの低下=金融緩和の効果だ。

 しかし、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の効果は不明瞭だ。次回の決定会合まで、日銀は当座預金の一部には従来通りの▲0.1%を適用する。一方、長期金利は、10年国債の利回りがゼロ%程度になるようオペレーションを行う。次回の会合以降は状況次第で20年などの金利が政策目標になることもあるだろう。

 10年金利がゼロ%程度になるということは、長期近辺の金利に上昇圧力がかかることを意味する。一方、日銀が年80兆円に相当するペースで国債を買えば、金利には低下圧力がかかる。マイナス金利を続けつつ長短の金利差を拡大させるためには、買い入れ額を絞る必要が出てくる。

 理論的には、短中期の国債を買えば長期金利をゼロ%程度に誘導することはできるだろう。しかし、平成28年度の発行計画では、5年国債、10年国債の発行は同額であり、長期債の買い入れを避けてマネタリーベースの増加を進めることは容易ではない。

 また、長短金利の操作が金融機関の収益に与える影響も未知数だ。銀行の貸出金利は、短期金利をベースとした変動金利が多い。マイナス金利が続く以上、貸出金利は上がりづらいだろう。そう考えると、決定会合後の株高には説得力あるロジックが見いだせない。日銀が日経平均株価に比べて金融銘柄の多いTOPIX連動型のETF買い入れ増を発表したことは、銀行セクターの株価下支え要因ではあるが、依然として銀行などの収益環境が厳しいことに変わりはない。