今年6月に改正貸金業法が完全施行され、消費者金融などからの借り入れ総額を年収の3分の1に制限する「総量規制」が導入されたことは、ご存知の通りだろう。「借りては返す」という自転車操業を繰り返してきた消費者は、この規制により新規に借り入れすることが難しくなった。
そんなご時世に登場したのが、「ソフト闇金」業者である。闇金というと取り立てが厳しく、嫌がらせや脅迫を行なうというイメージが強い。だがソフト闇金業者は、親切丁寧に借り入れ困窮者の相談に乗ってくれ、恫喝めいたこともしないため、警察への届け出も少ないのが現状だ。
業法改正の影響で、正規業者から借りられない無職者や自営業者が増えており、顧客には困っていないため、執拗な取り立てをする必要もないのだ。今年9月に某ソフト闇金業者が逮捕されたが、この業者も強引な取り立てはせず、系列グループを紹介しては高率な違法利息を受け取っていた。
改正貸金業法が改正されたため、ソフト闇金業者は、借り入れできなくなった顧客に対して「すぐに融資してくれる篤志家のようなありがたい存在」と勘違いしてしまう場合も多いという。法定利息の10~40倍以上の金利であっても、即融資を行なってくれるため、顧客はそのように思い込んでしまうのだ。
また、最近増加傾向にあるのが、友人同士を紹介させて顧客を増やしていくという手法だ。「ソフト闇金は金利こそ高いが、即借り入れ可能で怖い人たちじゃない」と友人を誘うよう、誘導するのである。
返済が滞れば、ソフト闇金業者は本人ではなく、利息分だけでも支払うよう友人たちを促し、「相談に乗ってやってくれ」などと背中を押させる。本人にとっては、〈友人に迷惑をかけたくない〉という気持ちもあり、「利息分だけなら」と、業者に違法利息分を渡してしまうのだ。
さらに、返済能力がない借り手が自己破産や債務整理を口に出せば、「友人たちにも迷惑がかかる」と思い込ませる。もちろんその場合は、グループ会社を紹介し、同じように高率な金利で貸し付けを行なっていく。
詰まるところ、ソフト闇金業者の旨みは元本の早期取り立てではなく、高額利息の長期にわたる徴収なのである。顧客リストから苦労して電話をかけ続ける必要もなく、取り立ても自分たちが直接手を下さず友人間で行なわせればよい。暴力や脅迫などで警察へ通報されるという危険性は少ない。このままでは、「闇金多重債務者」が増加する一方である。
では、ソフト闇金の罠にハマッてしまった人はどうしたらよいか? 弁護士や司法書士に債務整理や自己破産の手続きを依頼するにしても費用が発生するが、その費用を少額の毎月払いにするという方法もある。もしも、この記事をご覧の読者のなかに、法定外金利貸し付けを受けている方がいるなら、一刻も早くプロに相談して、「借りては返す」という連鎖地獄から脱出して欲しいと願わずにはいられない。
「NPO法人全国国民生活支援センター」は、こういった問題を解決するため、無料で活動を行なっている。なかなか相談しにくい人のことも考慮されていて、アメーバブログを用いて、わかりやすく闇金業者に対する被害者相談に乗ってくれている。
ブログには過去の相談事例と回答も掲載されているので、参考になる。同NPOへは24時間相談ができる体制になっているので、悩んでいる人はぜひ連絡してみて欲しい。きっと、解決への道が開けるはずだ。
(木村明夫)