中国人の日本留学のきっかけは
十中八九が日本のアニメ

 中国は相変わらずの競争社会だ。「上を目指せ」は娘・息子の将来を心配する親心からでもある。「親の子に対する支配力」は日本以上。中国では親が右といえば右、その発言は絶対で、子も親の顔色を見ながら「選択」をせざるを得ない。就職先として国営企業や公務員に人気が集中するのも、「それ以外の価値」を認めない親が多いためだ。

 ところが最近は、進路においてもようやく「価値の多元化」が始まろうとしている。周さんはこんなエピソードを語ってくれた。

「中国の某有名大学に進学した友人がいました。彼はこの大学を退学しアニメーターになろうと、日本留学を決意したんです。留学先は専門学校です。親が大反対したのは言うまでもありません。けれども、彼は今アニメーターとして大成功し、超有名人ですよ。あのときの選択は正しかったわけです」

 日本の専門学校を目指す留学生も増えている。独立行政法人日本学生支援機構によれば、2015年度は、大学は前年比3.5%増、大学院は前年比2.4%増であるのに対し、専門学校は前年比32.3%の大幅増だ。

 その背後にあるのは「専門学校における調理師やパティシエ、アニメクリエーターへの志望者の増加」(日本学生支援機構)だ。中国・韓国の学生は学位取得を目的に渡日する傾向が強いとはいえ、「『何が何でも大学進学』という観念が薄れる傾向もある」(同)。

 日本留学の動機について、「日本のアニメがきっかけ」という言葉はよく耳にするところだ。中国人留学生の日本選択の動機は、十中八九が「日本のアニメ」にあるといっても過言ではない。