「草食系男子」が新語・流行語大賞にノミネートされたのは7年前ですが、さらに男の「草食化」はますます進んでいるように感じませんか?もちろん、「草食化」は必ずしも悪いことではなく、その良し悪しは表裏一体。
例えば、草食系男子は素直で誠実で優しい半面、頼み事を断るのが苦手。もちろん、喜怒哀楽の「喜楽」だけでなく、「怒哀」も持ち合わせているのに傷つくのが嫌だから現実を直視せず、感情を押し殺してしまい、結局、相手に強く言うことはできず仕舞いということも多いのでは。
さらに草食系男子は前もって情報を集めたり、細かく計算してり、頭のなかで自問自答したりするのが得意な一方、そうやって妄想の世界でウジウジやっているせいでますます事態を悪化させ、結局、手遅れになることも。そもそも彼らはモテないからこそ彼女を「大事にしすぎる」せいで彼女からバカにされ、甘く見られ、目下として扱われるなど裏目に出るのです。
同窓会という名の合コンで
元カレと再会した妻
このように草食系男子の長所は裏を返せば、そっくりそのまま「短所」になるのですが、もし、たまたま付き合った彼女が運悪く「悪女」だとしたら……彼の短所に付け込み、食い物にされ、ケチョンケチョンにされてもおかしくはないでしょう。今回紹介する松本大樹さん(32歳)も絵に描いたような草食系男子です。
「妻がオトコに騙されているんです。何とか助けてあげてください」
これは大樹さんが私に初めて電話をかけてきたときの第一声です。「僕の妻がオトコに付きまとわれて困っている」と言い、私の力を借りに来たのです。
私はまず大樹さんの声色に違和感がありました。相談の深刻さを考えると、言葉をつっかえたり、上手く話せなかったり、声が裏返るほどひどく動揺していてもおかしくないのですが、彼の話し方は、まるで小学生が教室で国語の教科書を朗読しているかのよう。確かにトラブルの当事者は大樹さん本人ではなく妻ですが、とはいえ大事な存在ですから、大樹さんはもっと危機感や切迫感を持っても良いはずです。