9月21日、金融政策決定会合後の会見に臨んだ日本銀行の黒田東彦総裁。この日、日銀はこれまでの金融政策の「総括的な検証」を実施した Photo:REUTERS/アフロ

「もし信頼に欠く中央銀行が、『信頼できない政策を実施する』と信頼できるかたちで約束したら、二つのネガティブさが打ち消し合って、信頼が生み出されるのだろうか」。9月27日の米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は、日本銀行の「総括的な検証」と新たな政策の枠組みを評して、そう描写した。

 同紙は今回の日銀の判断にかなり辛辣だ。3年半前、インフレ率を2年で2%に引き上げると宣言しながら、現在はマイナス圏に逆戻り。そのことについて、それは「自分たちのせいではない」といったニュアンスで日銀が説明していることに、不信感を表している。

 また、同紙が言う「信頼できない政策」とは、長期金利ターゲットのことだ。2010年、米連邦準備制度理事会(FRB)もベン・バーナンキ前議長の下で、長期金利にターゲットを設定する政策を議論したが、幾つかの問題点が認識され、結局見送られた。

 筆者は日銀が今回の「検証」で、インフレ目標達成に向けた「闘い」を従来の「短期決戦型」から、現実を受け入れて「持久戦」にシフトしたこと自体は良かったと思っている。方針変更に対する批判を恐れて硬直的になられては、「玉砕」になってしまうからだ。

「持久戦」に移行するには戦術の見直しも必要だ。国債購入策の増額などに限界が来ていたため、相対的に持続性がある金利誘導への回帰が選択された。