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デジタル時代のプラットフォーム戦略

――カテゴリー・プラットフォーマーの出現

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第61回】 2016年10月7日
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 カテゴリー・プラットフォーマーはさまざまな分野で出現しているが、それは従来の業種という区分ではない新たなカテゴリーでデジタルエコシステムを形成する場合がある(図3)

出典:ITR

 例えば、タクシー業界に衝撃を与えたデジタルディスラプターとして有名なUberは、タクシー配車とライドシェアというコア事業で構築した事業基盤とコミュニティを活用して、レストランの食事や日用品を届けるサービスを開始している。これにより同社は、世界中のローカルマーケットにおいて人の移動だけでなく、モノの移動をも捉え、生活者の消費行動に関するデータを掌握することができる。

 また、国内でレシピサイトを展開するクックパッドは、245万品に及ぶ投稿レシピと、「食」に興味を持つ月間利用者のべ5000万人のコミュニティを持つことが強みである。同サイトには、よく閲覧される料理やキーワード検索で組み合せが多い食材などに関するデータが日々大量に蓄積される。同社は、こうした「食」に関するビッグデータの分析結果を食品メーカ―などに有償提供する「たべみる」というサービスを開始しており、「食」という分野におけるカテゴリー・プラットフォーマーを目指しているといえる。

 国内製造業におけるデジタル・イノベーションの先駆者として著名なコマツは、KOMTRAXの次の一手としてSMART CONSTRUCTIONという次世代型の建設現場ICTソリューションを展開している。これは、KOMTRAXが実現した建設機械の見える化を超えて、施工工程全体の見える化を実現するものである。

 その中核をなすのが、KomConnectクラウドサービスであり、顧客である建設・土木会社の工事受注から、設計、施工、アフターサービスにいたる全工程のプロセスを支援し、情報を一元的に管理するプラットフォームを提供するものである。

 コマツはSMART CONSTRUCTIONによって建設機械を製造販売するという製造業のビジネスモデルから、顧客の問題を解決するプラットフォームとそれに付帯するサービスを提供するサービス業へと転換を図っている。まさに、建設現場のカテゴリー・プラットフォーマーを目指す事例といえる。

 前述のGE社やコマツは製造業という枠を超えたビジネス展開を指向している。このように、IoTやAIなどのデジタル技術を活用した製品のスマート化により、製造業のサービス業化が進みつつある。また、カテゴリー・プラットフォーマーの例としてあげたUberやクックパッドも、開始当初のコアビジネスで蓄積したデータや築き上げた顧客基盤を活用して、業容を拡大してきている。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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