トヨタが弱いインドと小型車
スズキを得る魅力

 自動車産業の戦いは今、環境・安全規制の強化を背景に国家間競争の性格を強めつつある。

 規模拡大路線を取って赤字転落の憂き目に遭ったトヨタが再びボリュームを追求することはないにしても、国を背負う業界の盟主としての自覚はあるはずだ。日本の自動車産業の未来を考えたとき、スズキが救済を請えば断るとは考えにくい。

 トヨタにしてみれば、スズキは提携相手としても魅力的に映るはずだ。スズキは世界で戦える小型車と、世界4位の巨大市場に浮上するインドでの圧倒的シェアを持つ。VWもそこに目を付けていたほどで、トヨタが自前では苦戦している商品サイズと市場を手中に収めることが可能だ(下表参照)。

 本誌は15年9月下旬、修会長にトヨタとの新たな提携はあり得るか、単刀直入に真意を尋ねた。

「……(豊田)章一郎さんには、会ってないよ」

 すぐに一蹴してみせたが、うのみにはできないだろう。VWとの提携のうわさが浮上した際にも、修会長は「火のない所に煙を立てている」とメディアをけむに巻いた過去がある。

 修会長は本誌に対し、意味深な言葉も残した。10年後の日本の自動車産業がどのような姿になっていると思うか、と尋ねると、「(ドイツや韓国がそうであるように)日本も国がもっと前に出て、自動車産業への関与を強めていくしか道はないのかもしらん」。

 長期的な業界地図を見極め、そこにスズキの姿を安心して見いだすまでは、修会長も完全引退はできまい。しかし3年後には米寿を迎える高齢である。遠からぬ将来、その言葉の意味は明らかになるのかもしれない。