ただ、上司の指示に反発しようと思っているわけではありません。たしかに、Sさんは部下の報告を営業会議で断片的に把握していただけ。経験、力量的にバラつきのある営業組織全体的で成果をあげるマネジメントができているとは言い難いと、大いに反省しました。

 ならば、部下の行動を細かくチェックして、指導をしていこうと決意。その一環として、取引先の陳列状況の報告を部下に指示しました。陳列状況を十分に把握すれば、提案機会が見えてくる…と過去の経験から確信がありました。ところが、想定していなかった陳列状況の報告をしてきた部下がいました。

 営業も時間管理が難しい時代になりました。ドラックストアに訪問できる時間は限られています。なので、長々とした業務報告書は求めません。手短で構わないとは伝えています。ただ、いくらなんでも新製品が陳列されている写真と「これです」と手短なコメントだけで業務報告してくるのはいかがなものか。実際、こんな報告をしてきたのが部下のGさん。これは想定外でした。

 メールを見た瞬間、Sさんの頭に血がのぼり、Gさんをどなりつけてしまいそうな感情さえ湧いてきました。ただ、時間とともに冷静になりました。このような報告書を書かせてしまったのは自分にも責任があると感じたからです。

 ふりかえれば、「簡潔に報告してくれればいい」と言ったのは自分です。なので、Gさんは自分なりに“簡潔”の意味を解釈して、写真と手短にコメントすれば十分だと思ったうえでの行動だとすれば、彼を「報告書とは認められない」と責めることはできません。

現状報告はできるけれど
今後の課題、提案は語れない若者

 では、Sさんは上司として、ここからどのように対応すればいいのでしょうか?

 一旦クールダウンして、Sさんは添付されてきたGさんが撮った写真を確認しました。すると、競合比較がしやすい陳列一覧や手書きのポップの文章の接写写真など、文章で書かれた報告書よりわかりやすいと思えるクオリティの写真ばかりが添付されていました。だとすれば、部下の報告は正しいとも言えます。

 ちなみにSさんは未だにガラケー。ですので、電話での利用がほとんどで、写メを撮ることなんて習慣はありません。写真を撮るのは家族旅行や入学式など記念撮影に限ります。なので、気になったことをドンドン撮影して保存する最近の若者たちの日常を十分に理解していません。