ドン・キホーテは、閉鎖したGMSの跡地や居抜きでの出店が多い。昨年12月に開店した「MEGAドン・キホーテ綾瀬店」(写真)は以前、ダイエーだった Photo by Takeshi Yamamoto

「ドン・キホーテせどり」という言葉をご存じだろうか――。ドン・キホーテホールディングスの店頭で仕入れして、ネット上の通販サイトで転売し利益を稼ぐ行為のこと。新しい形のネットビジネスだ。それほど、ドンキには安い商品があるということの裏返しでもある。ドンキは「驚安」という造語を武器に27期もの連続増収増益を続ける。その強さの源泉はどこにあるのだろうか。実はドンキはこれまでイオンやイトーヨーカ堂など大手総合スーパー(GMS)がやってきたことの真逆をやって成長しているのである。(流通ジャーナリスト 森山真二)

「ドンキせどり」まで登場する
爆発的な安さで27年連続の増収増益

 ドンキ店頭に並んでいる日用雑貨系の商品をセール価格320円で仕入れ(買ってきて)ネット上の通販サイトに手数料総額430円を払い、1100円の売価で販売する。そして約350円の利益をとる。ドンキのポイントカードを持っていれば、さらに利益が上乗せされる。これが「ドンキせどり」である。

 つまりドンキで仕入れして、ネットで転売して稼ぐという流通市場が形成されてしまうほど、ドンキには爆発的な安さで売られている商品が多いのである。

 ドンキHDの2016年6月期の売上高は7595億円、営業利益は431億円。27期連続の増収増益である。2020年には店舗数を現在の341店から500店に拡大。売上高1兆円を達成する目標を掲げる押しも押されもせぬ国内1位のディスカウントストアであり、衣料品から日用品、食品、さらに高級ブランドまである総合小売業だ。

「今やドンキは総合スーパー(GMS)の最高形態」(大手小売業社長)ともいわれており、GMSの不振に悩むイオンもイトーヨーカ堂も顔負けである。

 そんなドンキが27年連続の増収増益を達成できた理由はいったい何か。それは現在、GMS業態が苦境にあるイオンやヨーカ堂と「真逆」な経営戦略を展開してきたからといっていい。

 よくドンキの特徴として商品が店内にうず高く積まれている圧縮陳列や、深夜営業などが指摘されている。もちろん、そうした集客の手段も好業績に寄与してきた。