自身の選挙では自民党に対決姿勢を見せた小池都知事だが、今回の補選では若狭候補の応援のため、安倍総理と並んで応援に立った。この変わり身の早さが小池都知事らしいとも言えるし、自民党の幹部らからすれば苦々しい思いもあったかもしれない。

 対する民進党は、共産党との間で候補者調整を行う「民共合作」を実現。民共合作とは、民進党と共産党との間で候補者調整を行い、片方が候補者を取り下げてしまえば、野党票がまとまるというシンプルな選挙戦術だ。東京都第10区においては、以下に示すとおり、2014年12月の衆院選では小池氏の圧勝だったが、人気のある小池氏が抜け、野党がまとまったことによって、どこまで接戦になるのか、というところが見所だった。

◎2014年12月14日投開票 衆議院議員選挙 東京都第10区 開票結果

当 小池百合子 62 自由民主党 前 9万3610票
  江端貴子 54 民主党 元 4万4123票
  今秀子 66 日本共産党 新 2万8453票
  多ケ谷亮 46 生活の党 新 9663票
  神谷ちづ子 61 次世代の党 新 8688票

 これに対し、今回の補選の結果は、自民党の若狭勝候補が7万5755票、民進党の鈴木庸介候補が4万7141票。民進党の得票数は前回の民主党の得票数から約3000票を積み上げたが、民共合作・野党共闘の効果は限定的となった。

 自民党の手堅い勝利のように見えるが、元々この選挙区は自民党が大勝していた選挙区であることや、小池都知事の得票数からは1万7855票もの減(約20%減)が見られることも看過できない。一度離れた有権者が、再び自民党に投票してくれるとは限らず、今後の展開によっては民進党も勢いづく可能性は秘めていると言えよう。

 ただ、現段階においては、夏の参院選や16日に結果が出た新潟県知事選で、民進党と共産党との間の選挙協力は一定の効果があることが証明されたものの、やはりその効果は場所によるし、蓮舫代表が登場したにもかかわらず、あまり勢いは得られていないと評価せざるを得ない。

福岡6区での自民分裂劇
いまだ強い「世襲」の力

 次に福岡に目を移そう。

 前述のとおり、鳩山氏の後継者をめぐって自民党は事実上分裂した。自民党県連会長の長男で、県連が推す参院議員秘書の蔵内謙氏(35)と亡くなった鳩山邦夫氏の次男で前福岡県大川市長の鳩山二郎氏(37)が仁義なき争いを展開した。自民党が混乱する一方で、東京都と同じく、野党は民進党候補に一本化して対抗する構図を作り上げた。新井富美子氏は、インドの在チェンナイ日本総領事館の職員など23年間インドで暮らした経験をアピールして挑んだ。