福岡6区(久留米市、大川市、小郡市、うきは市、三井郡、三潴郡)では、前回の選挙において民主党は候補者すら擁立できなかったが、今回の補選は自民党が分裂したがゆえに、理論的には結果が予想しにくい選挙だった。2014年12月14日の選挙結果は、故鳩山邦夫元衆議院議員が11万6413票、対する共産党の金子睦美候補は4万5357票とダブルスコアをつけて勝利している。しかし、自民党が「分裂」した瞬間に共産党と横並びになる。かつ、自民党候補は故鳩山邦夫元衆議院議員ほどの存在感は示せないだろうし、野党が民進党にまとまれば、共産党よりは票を集める可能性が高い、と予想された。

 だが、実際は、「弔い合戦」とした鳩山氏が圧勝。「鳩山家」の強さを見せつける結果となった。鳩山家が10万6531票を得たのに対し、蔵内家は2万2253票にとどまった。県連会長も国政レベルのブランドには勝てないということだろうか。自民党は鳩山次郎氏を後追いで公認するため、議席は守ったことになる。

 一方、民進党の新井氏は4万0020票。前回の選挙における共産党の得票数にも及んでいない。一方の自民党は、鳩山氏と蔵内氏の得票数を足すと故鳩山邦夫衆議院議員の得票数も上回っており、この結果は民進党にとっては「惨敗」と評価できるだろう。

 筆者としては、特定の血縁や家柄が政治を独占する傾向はいい加減改めなければならないし、そうした「古い政治」は打破していかねばならないと考えている。特定の「家」に対して政治家という職業を独占させることは民主主義の理念に照らしてもあまりよいことには思えない。だが、それを人々が支持するのであれば、仕方ないということだろうか。

 福岡の補選において、自民党はその旧態依然とした体質を露呈したが、人々の支持は極めて根強いことを示したと筆者は評したい。

安倍政権に陰りも?
年始にも解散したい真意

 一方で、順調に見える安倍政権も少しずつ陰りが見えてきていることは確かだ。

 まずは、経済の停滞である。外部要因が大きいため、必ずしもアベノミクスの失敗とは言えないのだが、為替もなかなか円安には動かず、予期していた経済効果は現れていない。

 16日に投開票が行われた新潟県知事選挙においても柏崎刈羽原発の再稼動に対して慎重派の米山隆一氏が当選した。原発政策においてもなかなか順調に事は進んでいない。

 現在開かれている臨時国会の目玉の論点であるTPPも、アメリカ大統領候補が2人とも積極的ではない姿勢を示しており、発効に向けた先行きが見えない。