理想の学校づくりは、「尖った人材」を集めるところから
瀧本 それでいうと今回、僕は『ミライの授業』という本をつくっていく中で、理想の学校づくりについていろいろと考えてみたのですが、結論は「リクルーティングに力を入れる」だったんです。
山梨 へええ。
瀧本 たとえばマッキンゼーでも、社内の「人」から学ぶことって多いじゃないですか。たぶん山梨さんの世代だと、国内の大企業でポテンシャルを発揮しきれなかった「尖った人たち」が、マッキンゼーに流れていた。
だから正直、同じマッキンゼーでも山梨さん世代のほうが、尖った人は多いです。若い世代になっていくと、「優秀なんだけど、優等生どまり」という人の割合が増えていきます。
山梨 うーん、僕らもそんなにほめられたものじゃないですけどね(笑)。
瀧本 でも、そういう尖った人たちを採れなくなっている現実はある。いまではマッキンゼーが「MBAに行って、マッキンゼーに行って、数年後には起業して」といったキャリアステップの一部になってきているので。
これって、進学校が抱えるジレンマとまったく同じ構造なんです。だから、もしも僕が校長になったら、「尖った生徒たち」のリクルーティングに全力を尽くすと思います。どんなにすばらしい教育システムがあったとしても、最終的に組織の強さを担保するのは「人」なので。
山梨 カリキュラムを変更するとかじゃないんですね。僕は『ミライの授業』を読んで、こんな授業があったらほんとうにおもしろいと思ったし、学校や教育、授業という言葉を見事に再定義した、画期的な一冊だと思いましたが。
瀧本 もちろん授業の中身にも手をつけていきますが、生徒にとっていちばん刺激になるのは「いい先生」や「いい授業」よりも、「いい仲間」の存在ですから。