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「新卒一括採用は、学生の勉強を阻害している」。大学教員を中心にこうした批判が繰り返されてきたが、それは学生の実態を無視していないだろうか?実際、大学を卒業してからの就活はうまくいかないケースが多く、そもそも奨学金の返済でそれどころではない。大学卒業後すぐに就職できるのは、学生にとってありがたい話なのだ。「新卒一括採用=悪」論に、大学の中の人である筆者が異を唱える。※本稿は、働き方評論家の常見陽平『日本の就活――新卒一括採用は「悪」なのか』(岩波書店)の一部を抜粋・編集したものです。
「就活は卒業後に」はきれい事?
新卒一括採用の様々なメリット
文部科学省が公表した「令和6年度学校基本調査(確定値)」によると、2024年3月に大学(学部)を卒業した学生59万487人のうち、就職者は45万1794人だった。直近5年間においても毎年45万人弱の就職者がいる。
やや極端かつ乱暴な議論ではあるが、もし新卒一括採用がなくなると、この約45万人分の若年労働力が市場に供給されない状態になる。現実的にはゼロになることは考えにくいだろう。とはいえ、これにより、若年労働力の供給が少なくとも一時的には不安定、不十分となる可能性がある。既卒者の未就労者が滞留する可能性がある。
また、若年層の納税額、社会保険料は一般的に他の年齢層に比べて低いと考えられるものの、これらの層からの収入が減る可能性がある。
労働力においても、税においても問題を抱える我が国においては、これは現実的だろうか。批判論者はこの点の不足についてどう考えるのだろうか。
新卒一括採用は日本的雇用システムの特徴の1つとされる長期継続雇用の出発点を提供する制度として、肯定的な評価がなされてきた。







