不動産価格を支える3つの柱
依然不足している土地供給

 中国社会の多くの人々はすでに不動産価格の高騰に嫌気がさしている。中央の指示もあり、誰もこれ以上の価格釣り上げはできなくなると思われている。しかし、本当にこれで不動産価格は下落するだろうか。いままでこのコラムで何回か中国の不動産価格について書いたので、その繰り返しになるが、現時点では不動産価格を支える3つの柱に、大きな変化は起きていない。

 第一に、ほとんどの大都市では今後2年間を予想しても、人口が大都市に集中していく現象は緩和されず、土地供給が不足しており不動産の数は依然として足りていない。

 第二に、通貨発行の増加は引き続きGDP成長率を大幅に上回り、余剰資金に投資先がなく、流動性は依然として過剰なままである。

 第三に、中国の経済発展は、高度成長から成熟への転換、言い換えれば高成長期から中成長期へ変化しているが、6.5〜7%の成長速度に落ち着くのかどうか。これ以上の成長率の下落に歯止めをかけるためには、不動産以外になんの手段があるのか。不動産自体は相変わらず国民経済の柱であるため、その価格抑制を目標とする政策は、一貫して優柔不断で、動揺し矛盾している状態にある。

 重要なのは、大半の人には見えない富の移転が、この国で密かに行われているということだ。

 過去数年で起きたことを思い出してみよう。通貨の超過発行でインフレが起こり金銭(現預金)の価値が下落。地方都市の住民が銀行に預金するのに対し、大都市の住民はローンを組んで不動産を購入している。地方都市の富裕層の子女は大都市の大学を卒業した後、そのままそこに残って不動産を購入する。高速鉄道が主要都市をつなぎ、三大都市圏の政府が地下鉄などのインフラ整備に巨額の投資をしている。

 富は迅速に大都市に移転し、集中していっているのだ。今後数年、中国の人口ボーナスは加速度的に終焉を迎え、各都市の間で人口の獲得戦が爆発する。将来、人口と富が集まるのは、直轄市、省政府所在地、経済中心都市になる。都市間の「80:20法則」(パレートの法則)がさらに顕著になる。つまり、「20%の人が、80%の富を持つ」というわけである。