8月下旬、上海でにわかに「離婚ブーム」が巻き起こった。その背景にあるのは、狂乱とも呼べる不動産バブルと取引規制強化のうわさ。もはや不動産市場は制御不能の状態に陥っている。
データがあぶり出す
8月末の離婚の急増
中国の不動産市場では、もはやどんなナンセンスなコメディが上演されても不思議ではない。
不動産ローンに関する政策が改正され、制限が強化されるとのうわさの影響を受け、8月末の上海に「離婚ブーム」が起きていると複数のメディアが報道している。
「離婚ブーム」がいかに過熱しているのか、興味深いデータがある。中国の配車サービス大手「Didi Chuxing(滴滴出行)」傘下の滴滴メディア研究院のデータによると、不動産ローンの政策改正のうわさが広がった翌8月26日以降、上海市内では滴滴を利用して、民政局または婚姻登記センターへ向かう利用者が明らかに増えているのだ。
中でも8月29、30日には、前週の同時間帯に比べると1.9倍の増加となっている。特に、8月29日に婚姻登記センターが大混雑だったというニュースが伝えられたせいか、翌30日には、婚姻届の手続きをする市民が朝早くから列をなした。先頭の人は、朝6時30分には既に浦東新区の民政局婚姻登記センターに駆けつけたという。最も増加率が大きいのは浦東新区民政局婚姻および養子縁組登記センター、虹口区民政局婚姻登記センター及び宝山区民政局婚姻登記センターだった。
無論、中には離婚届ではなく結婚届を提出に行く人々も含まれているだろうが、「その時期に上海で『結婚ブーム』が起きていない以上、どうして短期間に婚姻登記センターへ殺到する人の数がこんなに増えたのか説明がつかない」と、9月1日の『財新ネット』の記事は述べている。
確かに、中国で人気のある縁起がいい「婚姻届提出の吉日」は「バレンタインデー」「七夕」「3.14(ホワイトデー)」「6.6」「8.8」などだ。8月末に結婚のピークが訪れたというニュースも聞かないので、これは離婚届を提出に行く人が増えたのだと判断してよいだろう。
また、滴滴メディア研究院のデータによれば、8月29、30日に、Didi Chuxing(滴滴出行)を利用し、上海市の各不動産取引(財産権登記)センター、住宅ローンセンターへの向かった利用者は前週の同時間帯に比べて27.6%も上昇している。