「メールのほうが早い」から危険
ブラマンテ株式会社代表取締役。IT業界専門の展示会主催会社などにてマーケティングマネジャーを務めた後、1999年にマイクロソフト日本法人に転職。当時、営業・マーケティング部門では数少ない女性の営業部長を務める。約8年間の在籍中、個人および自身が部長を務めた営業グループでプレジデント・アワードを2回受賞。2007年キャリアおよびコミュニケーション支援に関する事業を行うブラマンテ株式会社を設立。
著書に『プレイングマネジャーの教科書』『女子社員マネジメントの教科書』(ダイヤモンド社)、『「頑張ってるのに報われない」と思ったら読む本』(WAVE出版)などがある
よく耳にするのは、「男性管理職のメールがそっけなくて、何か怒っているのではと心配になる」という部下の声です。
「○○の件、○日までに手配できると思います。ご確認のほど、よろしくお願いいたします」(部下)
「了解」(上司)
このメールのどこに問題があるの?と疑問に思った上司の方は要注意です。たった一行だけの即返信メールに対して、部下はこんなことを心配していたりします。
「あれ、私の書き方が悪かったのかな。
『この忙しいときに、いちいちメールを送りつけて』とイラついているのかな……」(部下の心の声)
当然のことながら、上司は怒ってもいないし、その部下に不満もない。
ただ普通に「了解」と書いているだけなのに、「用件だけのメールが怖い」と受け取る人もいるのです。
とりわけ女性は共感力が高く、相手が言ったことの「本音」を読み取ろうとします。
人によっては、そっけないメールは「怖い」「怒られた」「嫌われている」などと受け取ってしまうこともあるのです。最近は、女性だけではなく若い男性も、メールやメッセージの「空気」を気にしているという話もあります。中には「完全に上司は怒っている。本心は了解していないのだ」などと飛躍した解釈をし、逆のことをやってくる部下も……。
メールは額面通りに受け取ってほしいと思われる上司のみなさん、対面のやりとりに置き換えて想像してみましょう。リアルのやりとりで言えば、こんなイメージです。
上司に何かの承認を得ようと部下が書類を持ってきた。
忙しそうにパソコン画面に向かって厳しい表情をしながら、キーボードを叩きつけるように一心不乱に打ち込む上司。恐る恐る近づいてきた部下に対し、チラッと書類に目を通して「はいOK」と、部下の目も見ずに書類にサインをして返す。そして再びパソコン画面に集中する上司……。
こんなシーンであれば、「上司はイライラしているのかな」と思うでしょう。たった二文字の「了解」即返信メールにも、上記のようなやりとりと同じ印象を与えてしまうことがあるのです。